おしゃれで快適なワークスペースをリノベーションする注意点・費用や事例をご紹介
Writer 菅原沙絵 デザイナー WORKS 2017年に新卒入社以来、住宅だけではなく店舗や宿泊施設のデザインも担当してきた。 お客様の理想を正確に捉え、ヒアリングを中心にデザインしていくことを得意としているデザイナー。 CREATOR’s STORY|菅原 沙絵 |
自宅を仕事に適したスタイリッシュな空間へ。リノベーションの費用や注意点、具体的な事例を通じて、おしゃれで快適なワークスペース作りのポイントを解説します。在宅ワークの質を高めるために知っておきたい情報をまとめました。
目次
リノベーションできるワークスペースの3つのタイプ
リノベーションで実現できるワークスペースには、個室型、半個室型、オープンスペース型の3タイプがあり、用途や予算に応じて選べます。それぞれのスタイルが異なる環境を提供するため、家族構成や働き方に合わせて最適なワークスペースを選ぶことが、快適で効率的なリモートワーク生活のために重要なポイントとなります。
個室ワークスペースの特徴
個室ワークスペースは独立した部屋を使用するスタイルで、特に集中力を要する仕事や機密性の高い業務に適しています。独立した空間での仕事は生産性の向上にもつながり、オンとオフを明確に切り替えることが可能です。プライベート空間が確保できるため、長時間の作業でもストレスを感じにくく、心地よい環境を保てるでしょう。
メリット
個室ワークスペースのメリットは、高い集中力を維持できる点にあります。周囲の物音を遮断できるため、外的な影響が少なく、特に在宅ワークで業務の効率化を図りたい方には理想的な環境です。また、仕事専用の空間があることで生活とのメリハリがつき、心身のリフレッシュにも役立つでしょう。
デメリット
デメリットとしては、個室スペースを確保するために広いスペースや追加費用が必要になる点が挙げられます。防音や空調などの設備も充実させる必要があり、リノベーション費用が高くなる可能性があります。
また、家族と接する機会が減るため、孤独感を感じることもあるでしょう。費用対効果を考慮しながら計画することが大切です。
半個室ワークスペースの特徴
半個室ワークスペースは、家具やパーティションで区切ることである程度の独立性を確保したスタイルです。完全に独立はしていないものの、家族との適度な距離感を保ちながら作業に集中できるため、柔軟なワークスペースを求められる方に最適です。家族の様子を見守りながらも仕事に取り組むことができ、働き方の幅が広がるでしょう。
メリット
半個室のメリットは、比較的低コストで設置でき、レイアウト変更も自由に行える点です。設置費用も抑えやすく、ワークスペースを作りつつ家族との交流も確保できます。また、パーティションなどを使った柔軟な構成が可能で、必要に応じて用途や配置を変えられるため、生活スタイルに合わせた活用ができます。
デメリット
半個室のデメリットは、音や視線が完全には遮られないため、集中力が分散しやすいことです。パーティションや家具では完全な防音やプライバシー確保が難しいため、オンライン会議が多い場合などには注意が必要です。限られたスペースでのレイアウトには工夫が求められ、他の生活空間との調和を図る必要もあるでしょう。
オープンなワークスペースの特徴
オープンなワークスペースは、リビングやダイニングの一角に設けられる作業スペースです。家族と同じ空間で作業するため、個別のリノベーションをせずに利用できるケースも多いです。さらに、空間全体を共用しやすく、デスクなどの簡単な家具の配置で即座に作業環境が整います。日常の一部として活用できるため、家族との一体感も得やすい点が特徴です。
メリット
オープンスペースの最大のメリットは、リノベーション費用がほとんどかからない点です。家族との距離が近いため、コミュニケーションを取りながら作業できる点も魅力でしょう。
また、収納家具やデスクの配置で簡単にワークスペースを設けられるため、場所を取らず、効率的にスペースを活用できます。さらに、空間のレイアウトが自由であり、家族のライフスタイルに合わせて柔軟に変更できる点もメリットです。
デメリット
一方、オープンスペースは集中力が求められる作業には向きません。周囲の音や人の動きが視界に入るため、特に小さな子供がいる家庭では集中が途切れることが多くなります。また、プライバシーが保ちにくいため、オンライン会議や長時間の集中が必要な作業には不向きかもしれません。作業のための独立性や遮音性が低いため、視覚や聴覚の負担が増えやすいこともデメリットといえます。
ワークスペースをリノベーションする費用相場
ワークスペースのリノベーション費用は、選ぶタイプや設備によって変動します。
個室ワークスペースは平均的に高額で、間取り変更や防音設備を導入する場合、数十万円から100万円を超えることもあります。半個室はパーティションや家具など比較的簡単な設置で対応できるため、10万~30万円程度で済むことが多いです。オープンスペースは大規模な工事が不要な場合が多いため、数万円から始められる手軽さが特徴です。
費用は各家庭のニーズに合わせて柔軟に設定できるため、予算に応じてリノベーションのプランを検討すると良いでしょう。
ワークスペースに必要な広さとは
ワークスペースの広さは、用途や設置場所によって適切なサイズが異なります。一般的には、用途に応じてスペースの広さを選ぶことで、効率的で快適な作業環境を整えやすくなるでしょう。以下では、1畳未満、1~3畳、4~6畳といった広さ別に、理想的な用途とレイアウトのポイントについて解説します。
1畳未満
1畳未満のワークスペースは、デスクとチェアが配置できる最小限のスペースです。例えばリビングの一角やクローゼットを改装して、コンパクトで効率的なエリアを作りたい方に適しています。ノートパソコンやタブレットを用いた短時間の作業であれば、このサイズでも十分に対応可能でしょう。
狭い空間でも効率よく活用するためには、収納力の高いデスクやスリムなチェアの選択がカギとなります。
1~3畳
1~3畳の広さは、リビングの一部を区切ったり、寝室に小さなデスクを置くのに最適なサイズです。モニターや収納棚も設置できるスペースが確保できるため、フルタイムでの在宅ワークにも適しています。プライバシーをある程度確保したい方には、パーティションや仕切りを活用することで集中力を保ちやすくなるでしょう。
狭い部屋でも機能性を重視して設計すると、居住空間を圧迫せずに快適な作業エリアが作れます。
4~6畳
4~6畳の広さは、個室のワークスペースとしては理想的です。デスクや椅子、書棚や収納を配置する余裕があるだけでなく、リラックスできるソファや休憩用のスペースも確保できます。オンライン会議や長時間の作業を快適に行いたい方にとって、集中力と快適さを両立できる広さでしょう。
専用の照明や空調設備を整えたり、防音対策を施すことで、さらなる作業効率の向上が期待できるでしょう。
リノベーションの注意点とポイント
ワークスペースのリノベーションを成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
以下に、注意すべきポイントをまとめます。計画段階で細部をしっかり検討することで、作業効率を高めると同時に、長く快適に使用できる空間作りを実現できます。デザインや機能性のバランスを考えたリノベーションは、暮らしの質を大きく向上させるでしょう。
実際に使うシーンを想像する
リノベーション前に、ワークスペースでの使用シーンを具体的にイメージしてみましょう。例えば、どの程度の頻度で使用するか、どのような作業を行うかを考えることで、必要な設備やスペースの大きさが見えてきます。使いやすさとデザイン性を両立させたレイアウトを意識することで、より快適な環境が整うでしょう。
視覚的な要素も考慮し、個々の作業内容に合った空間づくりを心がけると理想的です。
空調にも気を配る
長時間過ごすワークスペースでは、空調の管理が大切です。特に個室や半個室の場合、通気性が悪いと室温が上がりやすいため、換気システムやエアコンの設置を検討しましょう。快適な温度で過ごすことができれば、作業効率も上がり、集中力も持続しやすくなります。
湿度管理も重要で、加湿器や除湿機を活用することで、より快適な作業環境を保つことが可能です。
電源や通信環境への配慮も忘れずに
ワークスペースには、電源コンセントの数やインターネット接続の安定性も重要です。特にオンライン会議や動画視聴が多い場合は、高速かつ安定したWi-Fi環境を整える必要があります。電源タップの位置も事前に計画しておくことで、作業時のストレスを軽減できるでしょう。
さらに、ケーブル管理アイテムを取り入れてスッキリとした見た目を保つことも、快適な環境作りに役立ちます。
生活環境に適したスペース選び
生活環境に応じて、ワークスペースを設置する場所も慎重に選ぶことが必要です。例えば、子供がいる家庭であれば、リビングに近い場所にワークスペースを設けて目が届くようにするなど、生活スタイルに合わせて配置を工夫すると良いでしょう。快適で使いやすい空間にするためには、家族全員がリラックスできるレイアウトを心掛けましょう。
プライバシー確保のためにパーティションを活用するのも効果的です。
働くスタイルに合わせたスペースの大きさ選び
ワークスペースの広さは、働くスタイルに応じて最適なサイズが異なります。例えば、書類を多く扱う業務には広めのデスクが必要ですが、ノートPCだけで仕事をする場合にはコンパクトなスペースで十分です。
効率的なスペースを確保するためにも、自身の働き方を考慮して最適な広さを決定することが大切でしょう。作業内容に応じて収納スペースの配置やサイズも工夫すると、より便利になります。
おしゃれなワークスペースを作るコツ
おしゃれで快適なワークスペースを作るには、いくつかのポイントを押さえて工夫することが重要です。
以下に具体的なコツをご紹介します。快適さと見た目のバランスを保ちながら、機能的なアイデアを取り入れることで、自分らしい空間作りが実現します。小物や家具の選び方も工夫することで、細部にまでこだわったスタイリッシュなワークスペースを演出できるでしょう。
照明
照明はワークスペースの印象を大きく変える重要な要素です。デスクライトや間接照明を組み合わせて、明るさと陰影を調整することで、集中しやすく疲れにくい空間を作れます。温かみのある光はリラックス効果をもたらし、仕事のストレスも軽減しやすくなるでしょう。
昼光色の照明と組み合わせることで、作業時の集中と休憩時のリラックスをスムーズに切り替えられる工夫も効果的です。
アクセントクロス
壁の一面にアクセントクロスを取り入れると、空間に個性が加わり、おしゃれな雰囲気を演出できます。グレイッシュな色やパターンを取り入れたクロスを選ぶことで、スタイリッシュで落ち着いた雰囲気を作ることが可能です。特にナチュラルな柄や織物風のクロスを用いると、温かみを感じられる空間に仕上がります。
小さな面積で試すことで、気軽にインテリアの印象を変えられるのも魅力です。
カラーコーディネート
ワークスペースのカラーコーディネートも、居心地の良さに影響を与えます。ブルー系やグリーン系の落ち着いた色は集中力を高める効果が期待でき、視覚的にもリラックスしやすい空間になります。全体的なカラートーンを統一し、柔らかな印象を演出しましょう。
色のトーンを揃えることで、インテリア全体が統一感を持ち、視覚的に広がりを感じさせる効果も期待できます。
自然光
可能であれば、自然光を最大限に取り入れる位置にデスクを配置するのが理想です。窓際にデスクを置くことで、外の景色がリフレッシュの役割を果たし、集中力が続きやすくなります。自然光は作業の快適さも向上させ、明るい雰囲気のワークスペースに仕上がるでしょう。
昼間の自然光が得られない場合は、自然光に近い色味の照明を選ぶと、同様の効果を得られます。
遊び心を取り入れた素材
ワークスペースにウッドやアイアンなど異素材を取り入れると、ユニークで楽しい空間が生まれます。例えば、ウッドデスクにアイアンシェルフを組み合わせるなど、素材の異なるアイテムを組み合わせることで、親しみやすさとおしゃれさを兼ね備えた空間が実現します。
さらに、ファブリックや天然素材の小物を加えることで、温かみのある空間を作り出し、心地よい雰囲気を楽しめます。
快適なワークスペースにするためのアイテム
ワークスペースをより快適にするために、重要なアイテムについてご紹介します。
デスク
デスクは作業効率に直結するアイテムです。広さや高さが適切なものを選ぶことで、作業がしやすくなり、姿勢も整いやすくなります。また、昇降デスクなど、状況に応じて調整可能なデスクを選ぶと、さらに快適な作業が可能でしょう。
特に、立って作業できるタイプのデスクは、長時間の作業による疲労を軽減し、姿勢を正しく保つ助けにもなります。適切なデスク選びは、作業の効率化と身体の健康をサポートします。
チェア
長時間座ることになるチェアは、体への負担を軽減するため、背もたれやクッション性にこだわると良いでしょう。姿勢をサポートするデザインのチェアや、腰をサポートするタイプのチェアは特におすすめです。心地良い座り心地が集中力を高め、疲労も抑えてくれます。
さらに、リクライニング機能や座面の高さ調節ができるチェアを選ぶことで、作業時の姿勢を自由に変えることができ、快適さが向上します。最適なチェア選びは生産性を高める要因の一つです。
収納
効率的に作業を行うために、収納も重要なアイテムです。書類や文具、デバイス類などを整理できるスペースを確保し、机上が散らからないようにしましょう。棚やキャビネットを設置することで、必要な物をすぐに取り出せる環境が整い、作業効率も向上します。さらに、デザイン性を備えた収納家具を選ぶことで、見た目も整った空間を作り出せます。
収納を賢く利用することで、作業環境が快適になるとともに、集中しやすい雰囲気が生まれます。
ワークスペースのリノベーション事例
個室のワークスペース
仕事部屋は場所を分けるだけでなく、壁紙や床材も切り替えました。
人は視覚情報が8割、スイッチの入り方が違います。
「各部屋ごとに内装を変えたから、お互いの部屋に入るときは”おじゃまします”という気持ちになります」と笑顔で話してくださったご夫妻。お互いの時間を尊重し合う、優しく思い合える関係がありました。
家で仕事ができる今、快適な職住環境を整える部分リノベーションが人気です。
半個室のワークスペース
「趣味も仕事もパソコン」という旦那さんのためにリビングの中にワークスペースを。
以前のお住まいでは1つの部屋として区切られていたため、旦那様が扉を閉めると息子様は入れない空間になっていました。
リビングの中に設けることで息子様は程よくお父さんの邪魔をして、仕事を見せてもらったり、遊んでもらえる子供にとっても嬉しい空間に。
オープンなワークスペース
キッチンから見える旦那様こだわりのワークスペース。
幅が広いので夫婦で仕事をしても十分な広さが確保できます。
後ろには壁一面の造作本棚があり、たくさんの本を収納できるようになりました。
キッチンやダイニングにいる家族とお互いの様子を感じることができるようになっています。
自分のライフスタイルに合わせたタイプを
ワークスペースのリノベーションは、快適な在宅ワーク環境を整えるうえで非常に有効な方法です。個室、半個室、オープンスペースといったタイプごとの特徴を理解し、自身のライフスタイルや働き方に適した空間を選ぶことで、機能的でスタイリッシュなワークスペースを実現できるでしょう。また、費用や広さの目安、照明や素材選びなどのポイントを考慮することで、より充実した空間を作り上げられます。
おしゃれさと機能性を両立させたワークスペースで、快適な在宅ワークを楽しみましょう。