2026.10.18
最終更新日
2026.10.18
リノベーションのヒント

リノベーションの照明スイッチの分け方|場面ごとに点ける灯りを書き出して決める

リノベーション 施主様インタビュー

ダウンライトをただ等間隔に並べるのはイヤ。夜の居心地をちゃんと考えたい。大阪市北区の中古マンションをリノベーションしたK様ご夫妻は、最初の打ち合わせから、照明についてこうした希望を共有してくださっていました。食事をする、ソファでくつろぐ、キッチンで作業する。同じLDKでも、場面ごとに欲しい灯りは違います。その灯りを切り替えるのが、照明のスイッチです。

リノベーションで照明のスイッチを分けるときは、照明器具の位置を決めるのと同じ打ち合わせで、暮らしの場面ごとに「どの照明だけを点けるか」を書き出し、いつも一緒に点ける照明は同じスイッチに、場面によって点けたり消したりしたい照明は別のスイッチに分けて決めます。

この記事では、場面からスイッチの分け方を決める書き出し方、図面の記号だけでは分かりにくいこと、K様の住まいで場面から照明の役割を考えた照明計画の例、照明工事の費用の目安を紹介します。

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照明のスイッチの分け方は場面ごとに点ける照明から決める

スイッチの分け方は、照明器具の位置と一緒に決めます。天井や壁を開けるリノベーションの工事中なら、照明の配線とスイッチの位置を工事に組み込めます。器具の見た目だけを先に決めて、どの照明をどのスイッチで点けるかを後回しにすると、場面に合わせた点け分けを工事に反映しにくくなります。

場面ごとに点けたい照明を書き出す

私がK様の住まいの照明計画について書いたコラムでは、次のような場面を挙げました。

  • 仕事終わりに一人でキッチンに立つとき
  • 友人を招いて“家バル”になる夜
  • 子どもがソファでごろごろしながらテレビを見るとき
  • 眠る前、家族それぞれが自分の場所で過ごすとき

こうした場面をひとつずつ思い浮かべながら、「この場面では、どの照明だけを点けるか」まで想像して照明を配置していきます。同じコラムで、照明計画は「スイッチの分け方や回路の組み方も含めて」暮らしの台本づくりに近い仕事だとも書きました。ご自宅で考えるときも、場面ごとに「点けたい照明」と「消しておきたい照明」を並べて書くと、スイッチの分け方が見えてきます。例として、一般的な場面で書き出すと次のようになります。

表は横にスクロールできます →

場面点けたい照明消しておきたい照明
一人でキッチンに立つキッチンの手元を照らす照明リビング全体を照らす照明
友人を招いて食事をする夜テーブルやカウンターの上の照明、壁を照らす間接照明手元を明るくする作業用の照明
ソファでテレビを見る壁や天井を照らす間接照明キッチンの手元の照明
眠る前、それぞれの場所で過ごす本を読む場所や机の手元の照明使っていない場所の照明

場面で点け分けたい照明はスイッチを分ける

書き出した表を見比べると、スイッチの分け方が決まります。ある場面では点けて、別の場面では消したい照明は、ほかの照明とスイッチを分けておきます。反対に、どの場面でもいつも一緒に点く照明なら、ひとつのスイッチにまとめられます。

上の例なら、キッチンの手元の照明は「一人でキッチンに立つ」ときは点けて、「ソファでテレビを見る」ときは消したいので、リビングの照明とは別のスイッチにします。分けた数だけスイッチが壁に並ぶので、どこにまとめて置くか、出入りする場所から手が届くかも一緒に考えます。

スイッチを分けたときに、照明の配線や分電盤の回路の工事がどう変わるかは、設計者に確かめておきたい点です。打ち合わせで「このスイッチの分け方にすると、配線や分電盤の工事は増えますか」と聞いておくと、見積もりと照らし合わせやすくなります。

スイッチの位置や高さの考え方は、こちらの記事で紹介しています。

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2か所から点け消ししたい場所や明るさを変えたい場所も書き出す

廊下の両端や、寝室の入口とベッドのそばのように、2か所から点け消ししたい場所があれば書き出しておきます。2か所以上でオン・オフする場合は、3路スイッチや4路スイッチを使います。

ひとつの照明の明るさを場面で変えたい場所には、調光機能付きのスイッチがあります。ただし、調光機能付きのスイッチは、調光機能のついた照明にしか対応していません。明るさを変えたい場所は、器具を選ぶ段階で伝えておきます。玄関や廊下のように、帰宅したときにすぐ点いてほしい場所には、人の動きを感知して自動でオン・オフするセンサースイッチもあります。

スイッチの種類は、こちらの記事で紹介しています。

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照明図面の記号だけでは夜の明るさは分からない

照明の図面では、照明器具の位置は「●」や「×」といった記号で描かれます。けれども、照明計画で決めたい次のようなことは、図面では伝わりにくく、パースや写真だけでもイメージしづらい部分です。

  • どのくらいの明るさで
  • どこに影が落ちて
  • どこにだけ、わざと光を当てないのか

おしゃれな照明器具は、ネットやSNSで探せば簡単に見つかります。一方で、天井のどこに付けるのか、何個までに抑えるのか、どこにあえて付けないか、どの光だけで成立させる夜をつくるか。こうした「引き算」と「組み合わせ」は、図面の記号の数を数えても決まりません。打ち合わせでは、図面を見ながら、場面ごとにどの照明を点けて、どこが明るく、どこを暗いままにするかを設計者と話すと、スイッチの分け方まで一緒に決められます。

場面から照明の役割を考えた照明計画の実例|大阪市北区のマンション

キッチン・リビング・廊下・背面の壁に照明の役割を持たせた計画

木のルーバー天井の間に小さな照明が並び、カウンターと畳のベンチの奥で、キッチンの背面の壁が照明で明るく照らされている

私が担当したK様の住まいは、大阪市北区の中古マンション(約70㎡・2LDK・RC造・築28年)をフルリノベーションした事例です。ここでは、場面を思い浮かべて照明の役割を決めた照明計画の例として紹介します。K様ご夫妻は照明計画の大切さをよくご存じで、間接照明やスポットで雰囲気をつくることにも興味をお持ちでした。

照明計画でお見せした案では、場所ごとに次のような役割を持たせました。

  • キッチン:スポットライトと間接照明を組み合わせた“家バル”モード
  • リビング:光源を直接見せすぎない、やわらかい灯り中心の構成
  • 廊下・WIC:必要なところだけをピンポイントで照らす計画
  • キッチンの背面の壁:塗装仕上げを生かす当て方で、テクスチャーが浮かび上がるように

案をお見せしたとき、K様からは「ここはこう変えたい」というより「それ、いいですね。ぜひそれで!」という反応が多く、追加のご要望はほとんどありませんでした。

三輪 海斗三輪 海斗

担当スタッフ

大枠の方向性を共有して細部は任せていただきました

要望をたくさん出していただくのも良いのですが、K様のように、どんな光でどう過ごしたいかという大枠を共有したうえで細部を任せていただけると、設計者としても腕のふるいがいがあります。

木のルーバー天井の間に埋め込まれた小さな照明と、明かりの点いたステンレスのレンジフード

キッチンまわりの照明は、スポットライトと間接照明で組み立てています。キッチンの上は、木のルーバーの奥に配線ダクトを隠し、天井のスポットライトで必要な場所だけを照らしています。カウンターまわりには間接照明を仕込みました。

キッチンの背面の塗装仕上げの壁を、天井から下がった壁の下端に仕込んだ照明が照らしている様子

キッチンの背面の壁は、コストを抑えながら質感が出る特殊塗装で仕上げ、そこに間接照明の灯りを当てています。光の当たり方で、壁の表情が変わります。

三輪 海斗三輪 海斗

担当スタッフ

灯りでつくる落ち着いた空気感

ダウンライトを使わず、スポットと間接照明だけで構成。光が壁や天井をやさしく照らし、昼と夜で異なる表情をつくります。その空間にふわっと漂うのは、“明るさ”ではなく、“心地よさ”です。

壁に掛けたポスターを上に付けた細長い照明が照らし、その横に奥へ続く廊下が見える

玄関の扉を開けてすぐ目に入る壁には、アートと照明を組み合わせました。

住み始めてからのインタビューで、K様はキッチンについてこう話しています。

「ここで料理するのがとても楽しいです。テレビと連携して音楽を流せるので、夜に一人でご飯を作りながら音楽を聴く時間が心地いい。カウンターでお酒を飲むだけでも癒され、料理そのものが楽しいんです。」

「ゲストを招くと、カウンターがまるでバーのような雰囲気になり、それぞれが会話を楽しむ光景が見られます。」

計画のときに思い浮かべた「一人でキッチンに立つ」「友人を招いて“家バル”になる夜」という場面が、住み始めてからのK様の過ごし方にも出てきます。場面を先に思い浮かべておくと、キッチン・リビング・廊下のように場所ごとの照明の役割を決めやすくなります。

↓こちらの施工事例もご覧ください


この住まいの照明計画の考え方は、こちらのコラムでくわしく書いています。

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照明工事の費用は器具の数と間接照明の造作で変わる

照明工事の費用の目安は、照明設備が1室3万円〜10万円、照明器具の設置費が1台5,000円〜15,000円です(いずれも税込)。

場面で点け分ける照明を増やすと、器具の台数の分だけ設置費が加わり、間接照明を仕込む場所には天井や壁の加工の費用も加わります。見積もりでは、照明器具が何台分か、間接照明のための天井や壁の加工が入っているかを確かめます。

ダウンライト・スポットライト・間接照明などの種類ごとの特徴と費用は、照明選びの記事で比べています。

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照明スイッチの分け方は暮らしの場面を書き出してから決める

照明のスイッチは、照明器具の位置と同じ打ち合わせで決めます。暮らしの場面ごとに点けたい照明と消しておきたい照明を書き出し、場面で点け分けたい照明はスイッチを分け、いつも一緒に点く照明はひとつにまとめます。2か所から点け消ししたい廊下や寝室には3路・4路スイッチ、明るさを変えたい場所には調光機能のついた照明と調光機能付きのスイッチを選びます。

K様の住まいでは、仕事終わりに一人でキッチンに立つときや、友人を招いて“家バル”になる夜を思い浮かべて、キッチン・リビング・廊下・背面の壁に照明の役割を持たせる案をお見せしました。住み始めたK様は、夜に一人で料理をする時間と、ゲストとカウンターを囲む時間の両方を話しています。

打ち合わせの前に、今の住まいで夜にどの照明を点け、どれを消しているかを、平日の一晩分メモしてみてはいかがでしょう? そのメモが、場面ごとの表を書き出すときの下書きになります。

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WRITERこの記事を書いた人

ディレクター

三輪 海斗KAITO MIWA

大阪府高槻市出身 / 三輪に頼んで良かったと言ってもらえるように頑張ります / 休日はよく古着屋巡りや、家具屋さんに行きます!

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