2026.10.18
最終更新日
2026.10.18
リノベーションのヒント

ヌックの下を犬の居場所に|読書スペースと上下に分けたマンションの実例

中古マンションのリノベーション施工事例

本を読んだり、ぼんやりしたりできる自分の居場所がほしい。でも、リビングには愛犬が落ち着ける場所も用意したい。読書のためのヌックと犬の居場所を一緒につくるなら、ヌックの上を人の読書スペース、その足元を犬の居場所と上下に分け、それぞれの出入り口を別の面に設ける方法があります。大阪市天王寺区のマンションでは、リビングの一角にこの形のヌックをつくりました。

この記事では、上下に分けるときに人と犬で取り合う寸法と出入り口、天王寺区の事例でヌックの上と足元をどうつくったか、下の居場所の高さと通風・掃除、費用が何で変わるかを紹介します。

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ヌックの上と足元は人と犬で高さを分け合う

上下に分けると、一つの造作の床面積の中に、人の居場所と犬の居場所を重ねてとれます。そのぶん、上と下の高さは互いに影響し合うため、人と犬の両方の寸法を計画の最初に一緒に決めます。

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決めること考えること
上の使い方本を読む、寝転ぶなど何をするか。棚や照明、座る段が要るか
上への上り方どの部屋から、段や階段で上がるか。下の出入り口とぶつからない位置か
下の出入り口犬がどちら側から出入りするか。中が見える建具にするか、閉められるようにするか
下の高さと奥行き犬の体の大きさに合わせる(後の節で詳しく)
空気の通り方と掃除囲われた下の部分の通風と手入れ(後の節で詳しく)
まわりの床犬が走り回るリビングの床の滑りにくさ

リビング横のヌックの下を愛犬の居場所にした天王寺区のマンション

「ダラダラできる場所がほしい」から始まったヌック

大阪市天王寺区の中古マンション(96.92㎡・2LDK・SRC造・築21年)をフルリノベーションした事例です。お住まいはご夫婦と、愛犬・愛猫。ご夫婦で本を贈り合うほど、読書が暮らしの一部になっています。

リビングから見た白い壁。上部の四角い開口の奥に内側がピンクの棚とアーチ形の開口が見え、下部には濃いグレーの枠に縦格子の建具が2枚入っている
菅原 沙絵菅原 沙絵

担当スタッフ

上は読書スペース、足元は愛犬の居場所に

リビングの一角にヌックを設けたきっかけは、奥様の「ダラダラできる場所がほしい」というご要望でした。きちんと座る場所ではなく、本を読んでも、ぼんやりしても、そのままうたた寝してもいい場所として設計しています。一段上がった上は奥様の読書スペース、その足元は愛犬が落ち着いて過ごせる居場所にしました。

リビングから見ると、一枚の壁に上下二つの開口があります。上の開口からは読書スペースが、下の縦格子の建具の奥には愛犬の居場所が見えます。

上は造作棚と壁付け照明のある読書スペース

上の読書スペースには、内側に色を付けた棚と木の天板、壁付けの照明があり、左の壁は木の板張りです。既製品の棚では、この住まいの寸法にもお二人の使い方にも合わなかったため、ヌックの棚は寸法・色・素材を空間に合わせて造作しました。

上部の開口からのぞいたヌック。左に木の板張りの壁、正面に内側がピンクの造作棚と木の天板、丸い壁付け照明、白い段があり、右のアーチ形の開口の先に黄色い壁が見える

改修前の図面では、リビングの横に和室と押入れがありました。改修後の図面では、その側にヌックと家事スペースが並んでいます。改修後の図面では家事スペースに階段があり、ヌックへはこの階段で上がります。上の読書スペースは家事スペース側から、下の居場所はリビング側から出入りする配置です。

改修前の間取り図。リビングの右隣に和室と押入れ、その下に廊下、右側に洋室が3部屋ある
改修後の間取り図。リビングの右隣にヌックと家事スペースが並び、家事スペースに階段の記号がある。右側は寝室と仕事部屋
家事スペース。左に上へ向かう白い階段、右に黄色い壁と白いカウンターがある

足元は縦格子の建具で仕切った愛犬の居場所

ヌックの足元は、リビング側に出入り口を設けた愛犬の居場所です。出入り口には濃いグレーの枠に縦格子の入った建具を入れていて、リビングから格子越しに中が見えます。

濃いグレーの枠に縦格子の入った建具2枚。格子越しに奥の白い壁と木の床が見える

走り回る愛犬のことを考えて床は滑りにくい仕上げに

リビングの床は、壁と同じチェリーです。走り回る愛犬のことを考えて、滑りにくい仕上げにしました。外を眺めるのが好きな愛猫には、もとの出窓をそのまま居場所として生かしています。

リビング。左の壁一面にチェリーの板張り、床は木のフローリングで、奥の白い壁に上部の開口と下部の縦格子の建具、右にキッチンがある

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項目内容
エリア・種別大阪市天王寺区・中古マンション(2LDK・SRC造・築21年)
面積96.92㎡
工事内容フルリノベーション
工期約90日
参考費用約1,930万円(税別)

参考費用は、間取りの変更や内装、造作の洗面などを含むフルリノベーション全体の掲載額です。

↓こちらの施工事例もご覧ください


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ヌックの下にする犬の居場所の高さと通風・掃除

上下に分けたヌックでは、下が囲われた場所になります。下の高さと通風・手入れの方法は、造作の形を決める前に確かめておきます。

犬の体の大きさと下の居場所の高さ

下の居場所の高さを大きく取るほど、上の読書スペースの床は高くなり、上で座ったときの天井までの高さは低くなります。今の犬の大きさに加え、子犬なら成長した後の大きさも含めて、伏せる・立つ・向きを変えるのに要る広さを、設計者と寸法で確かめます。上の床を上げたときの天井の高さや段の考え方は、小上がりの記事で紹介しています。

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下の居場所の通風・温度・掃除

環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」は、飼い主が適正な飼養に必要なときに飼養のための施設を設ける場合、適切な日照・通風等を確保し、施設内の温度や湿度を適切に保つなどして飼養環境を確保するとともに、衛生状態の維持に配慮することを定めています。この観点に沿うと、ヌックの下のように囲われた居場所では、風の通り方、温度や湿度、掃除のしやすさを造作の形と一緒に確かめておけます。

天王寺区の事例では、出入り口を縦格子の建具にしていて、リビング側の面は格子越しに開いています。計画では、エアコンの風が下の奥まで届くか、掃除機や手が奥まで届くか、下の床材を何にするかも合わせて決めておきます。

参考:環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号)(第3の1(3))

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ヌックの費用は床を上げる造作に何を重ねるかで変わる

ヌックの費用は、床を上げる造作に、棚・照明・建具・階段などの工事がどれだけ重なるかで変わります。大阪府高槻市の住まい(フルリノベーション105㎡)で床を上げて小上がりをつくった例では、小上がり部分の費用が約39.1万円(税込)でした。

リビングの床をあわせて張り替える場合、リビング20帖のフローリング全面張替えで50万〜100万円(税込)が目安です。滑りにくい床材を選ぶときは、候補の床材ごとに見積もりで比べます。

ヌックには、棚・照明・格子の建具・上り口の階段と、一か所に造作がいくつも集まります。見積もりで床を上げる工事・棚・照明・建具を項目ごとに分けておくと、どこを既製品にして、どこを造作に残すかを比べられます。

ヌックの下を犬の居場所にするなら足元の寸法から決める

読書のヌックと犬の居場所を一緒につくるなら、上を人、足元を犬と上下に分け、上り口と出入り口を別の面に設けます。高さは、犬が伏せる・立つ・向きを変える広さから足元を先に取り、残りで上の読書スペースの天井までの高さが決まります。囲われた足元は、風の通り方と、掃除機や手が奥まで届くかを造作の形と一緒に決めます。

天王寺区のマンションでは、奥様の「ダラダラできる場所がほしい」というご要望から、上を棚と照明のある読書スペース、足元を縦格子の建具の奥の愛犬の居場所にしました。上へは家事スペースの階段から上がり、愛犬はリビング側から出入りします。

計画を始める前に、愛犬が伏せたときと立ったときの高さと体の長さを測り、ヌックの上で何をしたいかと並べてみてはいかがでしょう? 床を上げたときの天井の高さや段の考え方は、小上がりの記事で紹介しています。

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WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

菅原 沙絵SAE SUGAHARA

大阪府大阪市出身 / 普段からデザインを意識的に見て、自分ならどうするのか考えるようにしてます / インテリア雑貨が好きでナチュラル・シンプルなものを集めることにはまっています

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