無垢の床でぬくもりある住まいに!無垢材の基本知識や費用とは?
住まいづくりを考えた時にどんなポイントを考えるでしょう?
「居心地良い家にしたい」
「自然のぬくもりがある家にしたい」
「体にいい家にしたい」
こういったことが一番に挙げられてくる方は、無垢の床を使うことでイメージ通りの家づくりが叶うかもしれません。
無垢の床と聞くとナチュラルな内装やぬくもりある雰囲気をイメージする方も多いはず。
しかし実際には「無垢の床」と聞いても分からないことだらけですよね。
「無垢」フローリングにしたいけど、無垢の床ってどんなもの?
自然のものを内装に使うとなると、手入れが大変では?
ここでは無垢材についての基本知識を知り、家づくりに役立つ無垢材の種類について紹介していきます。
目次
無垢材とは?
無垢材とは、一本の丸太から切り出して加工した一枚板のことを指します。
内装材としては床に使われることが一番多く、他にも天井・階段・カウンター天板や壁に使われることもあります。
フローリングには「単層フローリング」と「複合フローリング」があり、無垢材のフローリングは「単層フローリング」にあたります。
一方、「複合フローリング」とは、集成材または樹脂・紙などの基材の表面に薄く削った木や木目をプリントしたシートを貼ったものです。
無垢材の魅力
無垢材の魅力といえば、まずは木そのものの質感や風合いを感じ取れることでしょう。
木の持つぬくもりや、さらりとした肌触りは無垢材ならではの魅力で、無垢の床は裸足で歩いても気持ちのいいものです。
無垢材といっても樹種によって色や木目、節目が違います。香りや堅さも違うので、インテリアや用途に適した種類を選ぶことができます。
同じ樹種でも節目が違うので、唯一無二のデザインに仕上がるのも無垢材を使う楽しみの一つです。
また、木をそのまま切り出して使用しているため、時間の経過によって色味やつやが変わっていきます。
この経年変化を楽しめるのも無垢材の大きな魅力です。
建材としての無垢のメリット
建材としての無垢材を使うメリットは、調湿性に優れていることがまず挙げられます。
夏は湿気を吸い込み、冬には湿気を放出してくれるので、一年中快適に過ごすことができます。
樹種によっては柔らかいものもあり、小さいお子さんのいる家庭では安心して遊ばせてあげることができます。
また、天然素材を使うため、工業製品などでアレルギー疾患を抱える方が無垢の床にされることもあります。
熱伝導率が低いので、冬のヒヤッとした床を軽減させてくれるのもメリットの一つでしょう。
デザインテイスト別のおすすめ無垢材
無垢材は樹種によって色や木目、節が全く異なってくることはすでに述べていますが、そうなると自分たちの家に合う樹種がどれなのか検討もつきませんよね。ここで住まいのデザインテイストにあわせて、おすすめの無垢材を紹介していきます。
▼様々なデザインテイストについて詳しく知りたい方は
ナチュラルテイストには「杉」
無垢の床と聞いて一番に思い浮かぶナチュラルテイストに合うのは「杉」です。
杉と聞くと私たちにはとてもなじみ深い木の一つですよね。
木目が真っすぐで、明るい色味にしっかりした節が特徴的な杉の木。
日本では昔から家に使われてきたことから、どことなく懐かしく感じるような空間を作り出してくれます。
▼杉の無垢材を使用したリノベーション事例
北欧テイストには「パイン」
パイン材はもともと、北欧でよく使われている針葉樹林で比較的ローコストの木材です。
明るい色味と節が特徴的で、北欧テイストによく使われる白い家具や淡い色のクロスにもよく合います。
無垢材のなかでも特に色の変化が大きいのがパイン材です。はじめは明るく白っぽい色味のパインですが、経年変化によってあめ色に変化します。
また、柔らかめの素材なので、小さいお子さんがいても取り入れやすい素材です。
モダンテイストにするなら「ウォールナット」
ヨーロッパでは昔から家具材としてよく使用されてきたクルミ科の「ウォールナット」。
広葉樹で、無垢材のなかで特に高価な樹種です。
見た目も高級感溢れ、次第に赤茶色に変化していくのも楽しめそうです。
同じモダンテイストでウォールナットを使用していても、ヴィンテージ家具を置くことでヴィンテージな雰囲気に、シンプルな家具を置けばシックな空間に変わります。
写真はオフィスリノベーションの事例になりますが、広い面積にウォールナットを使用すると、オシャレな空間の足元に“高級感”“安定感”を感じますよね。
▼ウォールナットの無垢材を使用したリノベーション事例
「メープル」ならシンプルモダンな空間に
同じ「モダンテイスト」でもメープルの床なら白を基調に黒・グレーがアクセントの「シンプルモダン」な空間ができます。
メープルは特に堅く丈夫で、白い色に薄くきめ細かい木目が特徴です。
経年変化によって大きく色が変わることもなく、摩擦などにも強いので、見た目の変化が少ない方と言えるでしょう。
同じメープルの床でも、アクセントカラーを使わずにナチュラルテイストにするのもおすすめです。
杉のナチュラルテイストよりさらにシンプルな空間を作ることができます。
「和」の空間には日本古来の木を
和モダンなど、和風テイストを取り入れたい場合には、やはり日本で古くから使われてきた「ヒノキ」「杉」がしっくりと合います。
杉がナチュラルテイストで使用されるように、木肌が白く明るいヒノキも洋の空間に使用しても全く違和感ありません。
ヒノキは国産の高級品で昔から日本の建築によく使われてきました。
特にお風呂でも使用されてきたことからも分かるように、耐水性は抜群。
さらに触り心地は柔らかく、それでいて丈夫な素材です。
「ヒノキ風呂」から想像されるように香りも高く、使い込んでいくことで光沢感が出てくるという魅力いっぱいの樹種です。
オールマイティな「オーク」
オークは無垢材の中でも高い人気があり、切り出し方によって力強い節目が出たり、きれいな木目が出たりと、同じ木でも印象が大きく変わります。
そのため、幅広いインテリアに合わせやすく、壁や天井の色でテイストを変えることができます。
昔から洋酒の樽や船の材料に使われてきたことからも分かるように、耐水性と耐久性に優れています。
堅い素材なので、床に傷が入るのが気になる場合はオークにしておく、というのもいいでしょう。
写真はホテルのリノベーション事例になりますが、寝室部分がとても上品にデザインされています。オークは様々なシーンでコーディネートに取り入れやすい無垢材です。
▼オークの無垢材を使用したリノベーション事例
無垢フローリングの塗装の種類
無垢材の塗装は3種類の方法があります。
それぞれの塗装によって出来上がりのイメージや、入居後のお手入れ方法が変わってくるので、樹種が決まったら塗装の種類もよく検討しておきましょう。
①自然塗装
オイルを染み込ませることで、木の質感はそのままで、木目や色味をよりはっきりしてくれます。
コーティングしていないため、表面の傷が目立ちにくく、もし凹みや傷が入っても修復しやすいのも特徴です。
ただし、次に紹介するウレタン塗装よりも汚れや傷がつきやすい欠点もあります。
本格的なお手入れとしては、年に1回程度、オイルを塗り直すことで無垢材の乾燥を防ぎ、艶が増していきます。
②ウレタン塗装
自然塗装と違って、無垢材の表面をコーティングするのがウレタン塗装です。
コーティングされることで、耐水性が強くなり、汚れもつきにくくなります。
しかし、木本来の質感は損なわれてしまい、その代わり光沢感が増します。
ウレタン塗装の場合は半年~1年に1回、ワックスがけをすることでフローリングをより長くきれいに保てます。
③無塗装
無垢材に何も加工しない無塗装では、木の表面がそのままなので、調湿効果が塗装したものに比べて高くなります。
木の質感は自然塗装以上にそのまま楽しむこともできますが、水はすぐ染み込んでしまいますし、汚れもつきやすく、乾燥によって反ってしまうリスクも高くなってしまいます。
塗装されたものに比べて安価なため、自分で塗装にチャレンジしたいという場合は無塗装を選ぶのもいいかもしれません。
無垢材を使用する注意点
自然の素材だからこそ、無垢材にはデメリットも付き物です。
傷つきやすい?
一番気になる方が多いのが、傷が入ることと水に弱いことではないでしょうか。
杉やパインのような柔らかい樹種だと少しの衝撃でも傷や凹みができる場合があります。
さらに、水に濡れた状態で放置してしまうとカビの原因になります。
油汚れなどもシミになってしまうため、キッチンに使用する場合には特に手入れに注意が必要です。
複層フローリングの方がこれらの手入れに関して言うと簡単で、使いやすいかもしれません。
また、長年使っていると湿気を吸い込んだり吐き出したりすることで、木が反ってきてしまったり、ひび割れてしまうこともあります。
経年変化で色が変わっていくことも、インテリアのイメージが変わるのを避けたい方にとってはデメリットになります。
工事費用が上がるのでご注意を
費用の面でも、複層フローリングに比べると無垢のフローリングの方が高くなる傾向にあります。
価格に幅はあるものの、複合フローリングであれば約6,000円/㎡なのに対し、無垢フローリングは約1万~4万円/㎡と費用が大きく変わります。
無垢フローリングを使用する場所は主にリビングダイニングなど面積の大きい部屋になりますから、最終的な費用は一般的な複合フローリングを比べると大きな差になってしまいます。
設計者・施工業者、両方の意見を
無垢材は使用していくことで反りや割れが生じることがあるため、それらを考慮した方法で施工しなければなりません。
例えば、施工前に現場環境に慣れさせるために1週間程度、開梱してからなじませておくことで、ねじれや曲がりを緩和させることができます。
このような無垢材の取り扱いについて知識や経験が乏しい会社だと慣らしが不十分で、施工後すぐに床に隙間が空いてしまった、ひびが入ってしまったということもあります。
そういった特徴もあって、依頼した施工業者に無垢材の使用をおすすめされない場合もあります。
一方、設計事務所など“プランする人”と打ち合わせする際に無垢材の使用を希望すると、「お客様の希望通りにやろう」ということで、施工の際に注意するべき点を設計段階では考慮してもらえない場合もあるようです。
無垢材の使用に限った話ではありませんが、やはりメリットとデメリットは両方把握して考えていきたいですよね。
プランする人(設計者)、作る人(施工業者)両方からメリット・デメリットをしっかり説明してもらうようにしましょう。
ストーブやホットカーペットは控えて
無垢フローリングは急な温度上昇に弱いため、ホットカーペットを使用すると反りや割れの原因になります。
また、ストーブで温風が直接当たるのも劣化に繋がりますので、使用する場合には断熱シートを敷くなど対策が必要です。
さらに、エアコンの風が直接当たることで、フローリングが収縮してしまったという事例もあるようです。
最近では床暖房に対応している特殊な加工をした無垢フローリングも出てきましたが、費用も加工している分、高くなってしまいます。
使用する暖房器具をどうするか、無垢フローリングを採用する前に考えておいた方が良さそうです。
無垢材の魅力あふれるお家を
自然の魅力溢れる無垢フローリング。
取り扱いには注意が必要なところもありますが、大事に使うことで愛着が湧き、オリジナルの床に育っていくことも無垢フローリングの楽しみです。
たくさんの樹種、塗装での仕上がりの違いから選び抜いた床は居心地のいい住環境を作ってくれること間違いなしです。
あなたの理想とする家づくりに、無垢の床が適していれば、ぜひ検討してみてください。