アクセントクロスとは?おしゃれな人気色や失敗しない選び方のコツ紹介
こんにちは!クジラ株式会社の兒島です。
Writer 兒島ゆう子 デザイナー WORKS 大学で建築を学び設計デザイナーとしてクジラに入社。SEKAI HOTEL 高岡のPJにも携わるなど住宅だけでなく幅広くリノベーションの引き出しを持つデザイナー。豊かな感性と視点を持ち、お客様と細かく打ち合わせを重ねてリノベーションを創っていくことが得意。 CREATOR’s STORY|兒島 ゆう子 |
今住んでいる部屋を、もう少し雰囲気のあるおしゃれな空間にしたい……という人にぜひ検討していただきたいのが、アクセントクロス。壁の一部を他とは違う色柄の壁紙で引き立てる手法で、家具や雑貨などのインテリアに関わらず、空間自体が一気に洗練された印象に。とはいえ壁紙の色を変えるとなると、なかなかの大工事。「センスを問われそう」と、躊躇してしまうこともあります。そこで今回の記事では、アクセントクロスを採用する際に失敗しないポイントや、人気色や部屋ごとにおすすめのカラーなどを紹介していきます。
目次
アクセントクロスとは
壁の一部に他とは違う色柄を取り入れて空間のワンポイントにするのが、「アクセントクロス」。住居の壁は白であることが一般的に多いですが、それではなんだか物足りなく感じてしまうことも。一面だけあえて目立つカラーの色や柄の壁紙を採用することで、空間自体の雰囲気が大きく変わります。リビング、寝室、子ども部屋、トイレなど各部屋に採用されている事例も多く、取り入れられ方もさまざま。メリハリをつけられるためシンプルなインテリアでも個性が光り、奥行きのある広い空間に見せる効果も。色選びや採用する場所によって部屋の雰囲気を自在に変えられるので、リフォームやリノベーションの際はぜひ検討したい手法です。
失敗しないアクセントクロスの選び方
とはいえ、部屋の一面の壁だけ別にするアクセントクロスは、よほどイメージがしっかりとできていないとなかなか難易度が高かったりも。色や場所によっては思った通りの雰囲気にならない場合もあります。せっかくリフォームしても、暮らしづらくなってしまうのではもったいありません。それが不安でなかなか実行にうつせない……という人のために、アクセントクロスを選ぶ際の失敗しない方法を見ていきましょう。
まわりの壁とメリハリをつける
「派手すぎるとそのうち飽きてしまうかな……」と、なんとなく無難な色を選んでしまった結果、アクセントクロスにもかかわらず、目立たず中途半端な仕上がりになってしまうケースが多々あります。まわりの壁面と似たような色を選ぶとせっかく色を変えても埋もれてしまいがちなので、コントラストをつけられる色選びをしましょう。
また、色選びの際は小さなサンプルを見ながら色を決めていくことが多いですが、それも失敗の原因になりやすいのでご注意を。色は面積が狭いと濃く見えることがあるため、実際に壁一面という広い範囲に採用されると、思っていた色のイメージよりもだいぶ薄い印象になり周りとの差があまりわからないという結果になってしまいます。色選びの際はそのポイントをおさえ、施工業者に仕上がりイメージの詳細まで丁寧に伝えておくとよいでしょう。
アクセントクロスを施す分量の一つの目安として、空間全体の20~30%を目安に貼る場所を選ぶと良いといわれています。部屋の入り口から入ったときに目に入りやすい壁面やバストイレのような閉鎖された空間もおすすめです。
色の「明度」と「彩度」に注目
アクセントクロスの色選びでおさえておきたいのが、色の「明度」と「彩度」です。
明度とは、「色の明るさ」のこと。明度が高くなるほど白に近づき、低くなるほど黒に近づいていきます。明度が高い色は、白・パステルカラー・ペールカラーなど。部屋に取り入れると、明るく軽やかで広々とした印象になります。一方で明度が低い色は、黒・ダークカラーなど。アクセントクロスに取り入れるにはすこし難易度が高いと思う方も多いですが、重厚感や高級感のある印象になり、意外としっくりきます。
彩度とは、「色の鮮やかさ」のこと。彩度が高くなるほど色味がはっきりと濃くなり、低くなるほど色味がくすんだ感じに。彩度が高い色は、赤・黄・青・緑などの原色。部屋に取り入れるとかなり個性的になりますが唯一無二の空間に。一方で彩度が低い色は、カーキ・モスグリーンなど。落ち着きがありつつ、ワンランク上のおしゃれな印象の部屋を作ります。
飽きない色や柄を選ぶ
アクセントクロスを採用する上でよくある失敗が、「飽きてしまう」こと。空間のポイントとして取り入れるゆえに、あえて主張の強い色を選ぶことも多いアクセントクロスですが、毎日見ていると「なんだか飽きてきた……」という場合が少なくありません。日々生活する空間の中に派手な色があると、落ち着かなかったりしますよね。
ただ「流行っているから」などという軽い気持ちで取り入れると、飽きてしまいがちです。トレンドに左右されず自分の「好き」に忠実に選べば、多少派手な色柄を選んでしまったとしても、長く愛せるものとなるでしょう。色選びの際は、毎日その色を見ながら過ごせるかをよく考えた上で決断しましょう。とはいえ、個性的な色のアクセント効果は抜群。どちらを優先したいかよく考えて施工業者に実際のイメージがどうなるか相談しつつ、色や柄、取り入れる場所を検討しましょう。
他のインテリアとイメージを揃える
アクセントクロスを選ぶ場合は、家具・照明・床などまわりのインテリアとの調和もよく考えましょう。例えばリビングダイニングにアクセントクロスを採用するなら、ソファやダイニングテーブルなど、大きな家具に雰囲気を合わせてみると、わかりやすいかもしれません。
機能性や素材も確認する
色や柄など、ビジュアル重視で選ぶことの多いアクセントクロス。ですが、素材や機能性の特徴もさまざまです。せっかく張り替えるのなら、快適な暮らしになる素材や機能性を持つものを選びたいものです。壁紙の素材にはさまざまな種類がありますが、アクセントクロスで使われることが多いのは、ビニールクロス・織物クロス・紙クロスの3つです。
ビニールクロスは、塩化ビニール樹脂でできている壁紙で、アクセントクロスとしては一般的な素材です。色や柄の種類が豊富で低コストなのも、人気の理由。防水・防汚・防炎機能にも優れ、手入れも簡単です。織物クロスは、シルクやレーヨン、麻など布を紙で裏打ちしたもの。布なので耐久性が高く、静電気を発生させにくく、ホコリやタバコの汚れがつきにくいのが特徴。ビニールクロスよりコストがかかりますが、表情が豊かで高級感を演出します。紙クロスは、和紙や加工紙でできている壁紙で、紙ならではのやさしい質感や手ざわりが魅力的です。音を吸収し、空気を通す調湿効果にも優れています。天然素材なので、人や環境にやさしいという点も。
機能面では、防汚・防カビ性、調湿効果、耐久性、抗ウイルス・抗アレルゲン効果、撥水効果、光拡散効果、消臭効果、ペット対応……と、特別な機能性をもった壁紙もあります。アクセントクロスを施す場所以外の壁にも同じ機能性のある壁紙を選ぶと、さらに部屋の快適性が向上します。とくに小さな子どもやペットがいるご家庭は、機能性の高い壁紙を取り入れる場合も多いようです。
アクセントクロスの人気カラーは?
アクセントクロスには、実際どんな色が取り入れられているのでしょうか。人気カラーの印象をまとめてみました。その色自体の特徴を知っておくことも、色選びの参考になりますよ。
グレー系
人気が高いのが、アクセントにもなりつつ奇抜になりすぎない「グレー系」のアクセントクロス。スタイリッシュで都会的な雰囲気を持つカラーで、薄いものから濃いもの、少し青みや赤みがかかったものなど、さまざまな色味が。部屋の雰囲気にぴったりと合うものを探しやすいカラーです。色味だけでなく、レンガ調のものや石畳調のものなど、柄のバリエーションも豊富。そこまで主張するカラーではないため、柄を取り入れてもごちゃごちゃした印象になりません。暗めのグレーは空間を引き締め、シックで落ち着きのある雰囲気に。明るいグレーはなじみよくそれでいてポイントになります。床やインテリアなどの設備にも合わせやすい万能色です。
ブラウン系
木目調であることが多いフローリングと相性がいいカラーが「ブラウン系」。なじみやすいため、リラックスできる空間を演出します。ベージュに近い薄いブラウンであれば上品に、濃いめのブラウンになるほどシックな雰囲気に。レンガ調や木目調などの柄物も。なじみやすい反面、床や家具と似たような色味を採用するのでは、せっかくのアクセントクロスなのに目立たなくなってしまいます。床や家具と明度のコントラストをつけたスタイリングをするといいでしょう。
ブルー系
「ブルー系」も、インテリアに馴染み取り入れやすいと、人気のカラー。床やインテリアに使われることが多いホワイト系やブラウン系とのコントラストがつけやすく、互いに引き立てセンスのいい空間を演出します。例えばビビッドなブルーはダークブラウンの床・家具と相性がよく、ヴィンテージ風なおしゃれな空間を演出します。洋室だけではなく、あえて和室にブルーのアクセントクロスを採用するのも素敵です。失敗しづらく、取り入れやすい挿し色としておすすめのカラーです。
グリーン系
色味によってさまざまな表情を演出できる「グリーン系」。ミントグリーンのような鮮やかなグリーンは、西海岸風のインテリアにぴったり。抹茶色のようなくすんだグリーンは、和モダンのインテリアが似合う落ち着いた雰囲気に。大きな観葉植物をはじめ部屋に植物がたくさんあるならば、ぜひリンクさせてグリーンのクロスを採用してみてください。ウッディな雰囲気、ヴィンテージ感ある雰囲気など、木製の建具・家具との相性も抜群です。
テラコッタ系
ブラウンに似ているけれど、ブラウンの雰囲気とはまた違う垢抜けた雰囲気を演出できる「テラコッタ系」。赤ともまた違う色味で奇抜になりすぎず、飽きもきにくいです。トイレやキッチンなどへの採用例も多いのがテラコッタ系アラー。白との相性も抜群で、あたたかみのある色合いが明るい空間に映えます。
部屋別!おすすめアクセントクロスのカラー
アクセントクロスをどの部屋に採用するかも、色選び同様に悩むポイントの一つ。目を引きやすいリビングダイニングの広いスペースか、扉を開けてすぐ目に飛び込む玄関か、はたまた、部屋でも別空間を作りやすいトイレや洗面所か。階段がある物件であれば、踊り場の部分の壁をアクセントクロスにするというパターンもあります。
リビング
深いブルーが目立ちすぎず落ち着いた印象に。扉やソファと色を合わせることで統一感もあります。
寝室
ピンクのクロスで自分だけの“スキ”を詰め込んだ寝室に。
玄関
玄関を開けてすぐに見える壁にイエローのアクセントクロス。ビタミンカラーで明るい気持ちになります。
トイレ
アクセントクロスで一番人気の場所はトイレ!小さい空間なので、思い切ってアクセントクロスを入れるとおしゃれな空間になります。
施工にかかる費用は?
新築の場合は、クロスの設置が全体の建築費用に含まれている場合もあれば、別途費用がかかる場合もあります。アクセントクロスにする場合は別途費用がかかるかどうか、施工業者に確認をしてみましょう。部分リフォームの場合は、アクセントクロスのみの張り替えと、アクセントクロスを含むクロス全面の張り替えで異なります。施工費には既存クロスの撤去費用・廃材処理費・下地調整費・養生費などが含まれることもあります。
また、DIYでアクセントクロスを張り替えるというパターンも。その場合は、当然工事費用がかからず材料費のみの負担になるため費用は安くおさえられますが、仕上がりのクオリティに自信がないという場合は、施工業者にお願いするほうが安心でしょう。
アクセントクロスの価格はグレードや機能性によって変わりますが、目安としては1平方メートルあたりの1,000~2,000円程度。アクセントクロスを採用する面積を10~15㎡を目安に計算すると、材料費は1~3万円になります。施工費は施工箇所の状態などケースによって変動しますが、2万円程度みておくとよいでしょう。合計費用としては、3万円弱から5万円が目安となります。いくつかの施工業者に見積もりをとりつつ、内容と踏まえて相談しましょう。
失敗しないポイントをおさえつつ、個性を演出できる色選びがキーポイントとなってくる、アクセントクロス。無難な空間がグンと洗練された印象になり、インテリアを引き立てます。どんな色柄のものをどこに配置しようか……。いろいろな事例を見ながら、ぜひ検討してみてくださいね。