2026.10.18
最終更新日
2026.10.18
リノベーションのヒント

リノベーションの要望書の書き方|好きな写真に「前の家の不満と理由」を添える

古民家のリノベーション

リノベーションの要望書には、好きな写真に加えて、今の住まいで何が嫌だったか、なぜ嫌だったか、どうすればよかったかまで書いておくと、設計する側が判断しやすくなります。細かく決めたいところは、寸法や置く物まで書いておくと伝わりやすくなります。

マンションのリノベーションを2回経験したU様ご夫婦は、1回目に「なんとなく」任せた造作家具が、なんとなくの仕上がりになったと振り返っています。2回目に向けて、奥さまは前の住まいの不満と理由まで掘り下げた要望の資料をつくりました。

この記事では、U様ご夫婦の資料の組み立て方と、写真を送りながら打ち合わせを進めた天理市の古民家の事例から、要望書に書きたい4つのことと、パースやサンプルでも決めきれないところを紹介します。

LINEで相談・無料診断リノベーションについて相談する

なんとなく任せた造作家具と寒い廊下|U様ご夫婦の1回目と2回目

U様ご夫婦の1回目のリノベーションは1LDKの住まいでした。その後2人目のお子さまが生まれることになり、住まいが手狭になったため、2回目のリノベーションに取りかかりました。1回目の住まいに不満ばかりがあったわけではないものの、暮らしてみないと分からないことはありました。

大雑把にお願いした造作家具は大雑把なまま形になった

その一つが、造作家具の伝え方です。なんとなく上手にやってくれるだろうと思って任せた部分は、やはりなんとなく仕上がりました。細かく指示したところは思い通りになった一方で、大雑把にお願いした部分は、大雑把なまま形になったといいます。

気になったのは、次のような点です。

  • 棚の下が思ったより空いていない
  • サイズが大きすぎる
  • 素材感が少し安っぽく見える
  • 力を入れた部分とのバランスが取れない

玄関の抜け感と引き換えになった冬の着替え

もう一つが、寒い廊下です。廊下は、玄関を入ったときの抜け感をつくるためになくしたものでした。見た目はよかった一方で、古いマンションの玄関側から冷気が入り、冬は脱衣の場所が寒くなりました。

「それだけは失敗でした」

造作家具のほうは、失敗というほどではないものの、次に同じことはしたくない。1回目のリノベーションは、2回目の精度を上げるための大きな経験になりました。

2回目は奥さまが9枚ほどの要望資料に

2回目に向けて、奥さまは要望を資料にまとめました。写真を貼って好きな雰囲気を伝えるだけでなく、前の住まいで何が嫌だったのか、なぜ嫌だったのか、どうすればよかったのかまで掘り下げ、資料は9枚ほどになりました。

「家は3回つくらないとって言うじゃないですか。でも、3回目はなかなか厳しい。次で最後なら、1回目の教訓を活かそうと思って」。U様ご夫婦の言葉です。資料づくりについては「この色の何が気に入らなかったんだろうって、だいぶ出しながら考えました」という言葉も残っています。

「好き」「嫌い」だけでは伝わらず、なぜそう感じるのかまで出さないと、設計する側も判断できません。それが要望資料の役割です(KUJIRA公式noteの記事)。資料の枚数は、前の住まいで気になったことの数や、どこまで細かく決めたいかで変わります。

LINEで相談・無料診断リノベーションについて相談する

リノベーションの要望書は写真・不満の理由・寸法・手持ちの家具で組み立てる

要望書に書いておくと設計する側が判断しやすいのは、好きな写真、今の住まいの不満と理由、細かく決めたいところ、今持っている家具や物の4つです。U様ご夫婦の資料の組み立て方と、クジラの打ち合わせの事例から、それぞれの書き方の例を表にしました。

表は横にスクロールできます →

書くこと書き方の例もとにした事例
好きな写真雰囲気の近い写真を集め、どの部屋に使いたいかを相談する天理市の古民家
今の住まいの不満と理由何が・なぜ・どうすればに分けるU様ご夫婦
細かく決めたいところ寸法・置く物・素材の見え方まで書くU様ご夫婦の造作家具
今持っている家具や物新しい住まいでも使う家具の色や大きさを書くソファの色に合わせた壁紙

書くこと①:好きな写真は雰囲気をそろえてどこに使いたいかを相談する

天理市の古民家をリノベーションしたお客様は、写真をたくさん送りながら「このデザインはここに使える?」と相談して打ち合わせを進めました。写真については「ちゃんと意図をくみ取って提案してくれる」と振り返っています。

この住まいのデザインを担当したデザイナーは、最初の参考写真が多いと意図をつかみやすい一方で、系統がバラバラだと方向性が定まりにくいと話しています。このお客様の写真は雰囲気が近く、写真の中から古民家風とホテルライクという2つの軸が見えてきたといいます。

このお客様のように、写真を見せながら「ここに使える?」と使いたい場所を一緒に相談すると、写真のどこを見てほしいかが伝わりやすくなります。

書くこと②:今の住まいの不満は何が・なぜ・どうすればに分けて書く

U様ご夫婦が1回目で「それだけは失敗でした」と振り返った冬の脱衣の場所の寒さを例に、この記事で3つに分けて書いてみると、次のようになります。

  • 何が:冬は脱衣の場所が寒かった
  • なぜ:玄関の抜け感のために廊下をなくし、玄関側から冷気が入りやすかった
  • どうすれば:玄関の抜け感と冬の着替えの場所の暖かさを、どちらも望んでいると伝える

「なぜ」まで書いてあると、設計する側は同じ見た目を求めながら、別の方法で寒さを防ぐ案を考えやすくなります。

書き出しきれない不満もあります。クジラのデザイナーには、打ち合わせで「お客様の今の住まいのありのままを見たい」という人が多くいます。要望は言葉でも聞きますが、一番の課題やささいな情報には、お客様自身も気づいていないことが多いためです。今の住まいの使い方を見てもらうことで伝わる不満もあります。

▼コチラの記事もおすすめ

書くこと③:細かく決めたいところは寸法と置く物まで書く

U様ご夫婦が1回目の造作家具で気になった4つの点を、この記事で要望書の項目に置き換えると、次のようになります。

  • 棚の下の空き:棚の下に何を置くか、その高さ
  • サイズ:置く場所の幅や、まわりに残したい幅
  • 素材感:写真だけで決めるか、サンプルで見たいか
  • バランス:力を入れたい家具や部分はどれか

U様ご夫婦の1回目では、細かく指示したところは思い通りになりました。細かく決めたいところと、提案を聞きたいところを分けて書いておくのも一つの方法です。

書くこと④:今持っている家具や物も書いておく

新しい住まいでも使う家具は、その色や大きさも要望書に書いておけます。犬を迎えるためにマンションを購入してリノベーションしたお客様の住まいでは、お客様が持っていたネイビーのソファに合わせて、設計の担当者がネイビーのアクセントクロスを提案しました(KUJIRA AWARDのレポートより)。

LINEで相談・無料診断リノベーションについて相談する

パースやサンプルでも決めきれない色と質感|天理市の古民家の事例

写真で意図をくみ取ってもらえても、壁の色や質感は、パースや塗装のサンプルで確かめても決めきれないことがあります。ここでは、写真を送りながら打ち合わせを進めた古民家の事例を紹介します。

古民家の雰囲気とホテルの雰囲気を部屋ごとに分けた約130㎡の住まい

キッチン側から見たLDK。梁の見える天井の下にダイニングテーブルと椅子、奥にソファと格子の窓がある

奈良県天理市の古民家(約130.2㎡・8LDK・木造・鉄筋コンクリート造・築87年以上)を、親族から引き継いだお客様がセカンドハウスとしてフルリノベーションした事例です。最初のテーマだった古民家風とホテルライクを、和室は古民家の風合いを残し、リビングや水回りはホテルのような雰囲気に仕上げる形で、部屋ごとに分けました。

打ち合わせで悩んだのが、壁の仕上げです。お客様はパースの時点で「もう少し落ち着いたトーンがいいかも」と相談し、塗装のサンプルを見たときにも「少し違うかも」と感じていました。実際に施工してみるとやはり気になり、LDKは塗り直しをお願いしたと振り返っています。

デザインを担当したデザイナーは、パースでは質感や光の反射まで完全には再現できず、サンプルも小さな面でしか確かめられないため、色や質感の確認は難しいと話しています(ディレクターも交えた3人のインタビュー)。

梁の見える天井と障子のあるLDKのイメージパース。壁はクリーム色がかった色
塗り直し前のイメージパース
同じLDKのイメージパース。壁は灰色がかった白
塗り直し後のイメージパース

この住まいのディレクターは、最初に希望を聞いたときのことを次のように振り返っています。

山根 広大山根 広大

担当スタッフ

ディレクターとして考えた古民家とホテルライクの共存

ご希望をお伺いしたとき、古民家の雰囲気そのものがNGというわけではありませんでした。予算も限られている中で、古民家とホテルライクなデザインをどう共存させるかが鍵だと考えました。

↓こちらの施工事例もご覧ください

写真を見せて頼んだ床の色味やリビングの広さが、仕上がってみると思っていたものと違った例と、設置する照明の下でサンプルを見る、図面の広さをメジャーで再現するといった確かめ方を、リノベーションの失敗談の記事が取り上げています。

▼コチラの記事もおすすめ

リノベーションの要望書は不満の理由まで書くと設計の判断材料になる

要望書には、好きな写真に加えて、前の住まいの不満を何が・なぜ・どうすればに分けて書き、細かく決めたいところは寸法や置く物まで、新しい住まいでも使う家具は色や大きさまで書いておきます。色や質感は、要望書を渡したあとも打ち合わせで確かめていく部分です。

U様ご夫婦の1回目では、細かく指示した造作家具は思い通りになり、なんとなく任せた部分はなんとなく仕上がりました。天理市の古民家のLDKは、パースの時点で落ち着いたトーンを相談していても、施工後に壁を塗り直しています。

まずは今の住まいで気になっていることを一つ選び、何が・なぜ・どうすればの3行で書いてみてはいかがでしょう? 要望書を渡す先の会社をまだ比べている段階なら、3大トラブルの記事の「工事の要望を理解してもらえない」の節が、伝えた要望に的外れな提案が返ってきた例と、打ち合わせの回数や契約前のCGパースで依頼先を見比べる方法を挙げています。同じ記事の「契約後に追加請求・大幅な変更がされる」の節には、決めたことを議事録に残して双方で持っておく方法もあります。

▼コチラの記事もおすすめ

LINEで相談・無料診断リノベーションについて相談する
WRITERこの記事を書いた人

クジラ 編集部

中崎町にあるリノベーション会社です。不動産探し、住宅ローンのお手伝い、設計デザイン、施工、インテリアコーディネートまでワンストップでお手伝いさせていただきます。お客様に最適な暮らし方のご提案をさせていただきます。

リノベーションの相談・各種ご予約はこちら