「死ぬまで修理せんでもいいように」。斜めの壁をなくした、ご夫婦の部分リノベーション|インタビュー

お子さんたちが巣立ち、大阪市北区のマンションでふたり暮らしを続けてきたH様ご夫婦。リビングとダイニングの間にある斜めの壁は、住み始めた頃からずっと気になっていました。洗面室の収納は大きすぎて使い切れておらず、なくてもいいと思い始めていました。設備も古くなり、ひとつずつ修理を重ねるより、まとめて直そうと考え始めます。
ところが、メーカーの紹介で見てもらった会社の答えは、洗面室の収納は取れないというもの。やりたいことができないなら、リフォーム自体をやめようか。そう話していたときに目に入ったのが、以前クジラが工事の挨拶でお渡しした、使わずに置いてあったタオルでした。
この記事は、一度はやめかけたリフォームの記録です。収納を減らすことをどう判断し、値段の高い天板をなぜ選んだのか。工事から1年以上暮らした今の実感とあわせて伺いました。
▼今回のPJメンバー
お客様:H様ご夫婦
クジラディレクター:山根広大
クジラデザイナー:藤本恭好
クジラ施工管理:南澤敦哉
目次
「死ぬまで修理せんでもいいように」
山根:今回、工事をしようと思ったタイミングは何だったんですか。
H様(奥様):古くなったし、年もいってるしね。そろそろしようか、と。死ぬまでもう修理せんでもいいように。一個一個修理していたら大変やから、まとめてやろうと思ったんです。

山根:一番気になっていたのは、やっぱりこの斜めの壁ですか。
H様(奥様):最初から鬱陶しかったもん。テーブルを置くのも難しいし、中途半端やし。斜めのところは本当に使いにくかったんです。

「取れない」と言われた洗面の収納。一度はやめかけたリフォーム
H様(奥様):メーカーさんのショールームに行って、工事の会社を2社紹介してもらったんです。でも洗面所の収納は取れないから、幅のある洗面台を入れます、と言われて。そうなんですか、と。

山根:メーカーさんの紹介だと、やっぱり商品ありきになるんですよね。商品を納めて標準の工事をすれば、早くできるので。
H様(奥様):それだけやったら、やりたいこともできない。もうリフォームやめようかな、と思っていたぐらいで。
H様(奥様):リフォームなんてあんまりしたことないから、こんなもんなんかな、とも思ったんです。
捨てずに置いていたタオルで思い出した、近所の会社
H様(奥様):以前、工事をしますからって、ご挨拶でタオルを持ってきてくれたでしょう。使わずにずっと置いていたんです。それを見て思い出して。電話番号が書いてあったから。
H様(奥様):家も近いし、聞くだけ聞いてみようかって。電話するのは勇気がいりましたけどね。
H様(奥様):見積もりを出してくれるのも早かったんです。
山根:現場が近かったのと、メーカーで作成したキッチンや洗面台の資料を見せていただいていたので、そこからプランを作れたのですぐにご提案することができました。
H様(奥様):洗面の収納も外してもらいました。前に来た会社には、潰せないと言われていたんですよ。

「タイルを剥がすの?」磁石の壁と、減らした収納
キッチンで奥様が希望したのは、磁石がつく壁でした。そのためには、既存の壁のタイルを剥がしてマグネットパネルに張り替える必要がある場合があります。
H様(奥様):他社さんが来た時に、磁石にしたいんですって言ったら、タイルを剥がすって言うんです。えー、すごい大事やね、どうする?って。
藤本:現場の状況によって施工方法は異なりますが、今回はタイルを剥がさずに施工できましたね。
H様(奥様):クジラさんの現場管理の南澤さんが来てくれた時に「これだったらこのまま上から貼れますね」って言われて、あっそんな施工方法もできるのねって思って。

山根:実際、磁石は便利ですか。
H様(奥様):とっても便利ですね、いっぱい下げてます。毎日使うものだけ手の届きやすいところに置いておくんです。

山根:吊り戸棚をなくしたので、収納の量としてはだいぶ減らしましたけど。
H様(奥様):それが、ものすごく入るんです。狭いようで、背の高いお鍋も全部入る。吊り戸棚に入れていた食器も、毎日使うものは全部、キッチン下に入りました。びっくりするぐらい。
藤本:天板は、値段の高いセラミックを選んでいただきました。セラミックは短くカットもできるんですが、そうするとシンクも小さいサイズにしないといけなくなります。シンクの大きさを優先して、長さ2100mmの天板をそのまま使うプランにしました。
H様(奥様):セラミックは良かった。値段は高いです。でも、年を取ったら掃除ができないから、そのことを思ったらすごいわ。掃除のしやすさが全然違うんです。

お風呂は、肩まで湯が届くタイプも候補に挙がりましたが、値段と掃除の手間を考えて見送りました。
H様(奥様):お風呂も掃除がね。シンプルになったから楽なんです。
「ない方が広い」斜めの壁を取ってわかったこと
最初の打ち合わせで出た要望は、「洗面台を広く、できれば座って使いたい」と「冷凍庫の置き場所を動かしたい」でした。現状図を描いたデザイナーの藤本は、斜めの壁を撤去してカップボードを置き、その横に冷凍庫とゴミ箱を隠す木の家具を置く案から検討を始めます。洗面室では、取れないと言われていた収納家具を撤去し、座って身支度ができる洗面スペースをつくりました。


H様(奥様):最初は、この壁を残しながらとか、いろいろ思ったんですけどね。ない方が広い感じになった。この壁がなくなってよかった。結局冷凍庫は寝室の方に置くことになったしね。

H様(奥様):大々的に変えるんやったら、もっと大々的に変えた方がよかったかな、と思うこともあるんですけどね。
山根:スペースは広くないですけど、設備は全部触っていますし、壁も床も触っているので、結構大々的だったと思いますよ。
H様(奥様):2人しかおらんからね。あんまり広くても掃除が大変や。これぐらいがちょうどいいわ。
「やっぱりこれがいいな」帰ってきた子どもたちが言ったこと
山根:暮らしてみて、便利になったなと思うのはどこですか。
H様(奥様):やっぱり深型の食洗機が一番便利。子どもらも帰ってきたら、自分の家にも食洗機があるのに、「やっぱりこれがいいな」って言うんです。フライパンも全部入るからね。
山根:荷物も工事前よりだいぶ減りましたよね。
H様(奥様):ものすごい捨てた。ベッドも処分して、ソファも、あそこの椅子も全部。家具はみんなネットで買って、組み立てました。

工事の後、LDKの床には保温性のあるウールカーペットを敷きました。もともとご主人が自分で断熱シートとカーペットを敷いて、寒さをしのいでいた場所です。カーテンの裾はご主人の希望で6cm伸ばしました。コード類を見えないようにするためです。
H様(奥様):前は窓際のソファにいたから、手がかじかむぐらい寒かったんです。今は部屋の真ん中で過ごすようになって、あったかい。

斜めの壁は、最初から気になっていました。洗面の収納は、取れないと言われていました。一度はやめかけたリフォームは、使わずに置いていた1枚のタオルに書かれた電話番号から動き出しました。高い天板を選んだ理由も、見た目ではなく「年を取ったら掃除ができないから」でした。H様ご夫婦が選んだのは、この先の修理と掃除の手間を、ひとつずつ減らしていく工事でした。
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