【土間収納】リフォーム・リノベーションにおけるメリット・デメリットをデザイナーが解説
クジラデザイナーの高橋です。住宅やオフィス、SEKAI HOTELの客室のデザインに携わっています。
お子様がいるご家庭でのお客様から、「土間収納スペースが欲しい」といったご要望をよく聞くようになりました。
玄関の一角に土足で出入りができるようなスペースがあると、見せても良い物、見せたくない物の配置が整理されて「お家の顔」を呼ばれる玄関もすっきりしますよね。
自転車やベビーカー、スポーツ用品など外で使用する物たちの搬入搬出を楽にさせてくれる土間収納。最近ではアウトドア用品の収納に困っている方も多いはず。
今回は土間収納をつくる時のリノベーションのポイントをご紹介します!
目次
土間収納リノベーションのポイント①:収納したい物の大きさ、数
土間収納スペースに収納をしたい物の大きさや数によって、広さや動線、造作する棚や取り付けたい設備など細かく考える必要があります。
また、長く住む中でお子様の成長や、収納する物の大きさや数が変わります。
自分たちでカスタマイズができるように、可動できるような棚板にしたり、DIYを見据えて壁に下地補強工事を行ったりと、密な打ち合わせを行っておけばライフスタイルの変化にも柔軟に対応できます。
この写真のように、造作でこしらえた収納の壁面の仕上げを有孔ボードにすることで、土間収納の自由度が高まります。「魅せる収納」を目的とした場合に、有孔ボードは取り入れやすい建材と言えます。
「収納したいもののサイズがバラバラ…」という人は、市販されているボックスやケースを上手く並べると見栄えもすっきりし、物の出し入れがしやすくなるのでオススメです。
まずは大きい物に注目して収納したい物の寸法を把握することで、土間収納の細かな設計も考えやすくなります。
土間収納リノベーションのポイント②:土足を考慮した床の仕上げ
靴を脱がずに物の出し入れができる土間収納ですが、土足で歩く床はどんな素材や仕上げがいいのでしょう。土足で使用することができ、耐水性のある床の仕上げ材を紹介します。
▼内装の床の素材について詳しく知りたい方はコチラ!
モルタル/土間コンクリート
ラフな質感で最近では大人気の仕上げの方法。耐水性にも優れており、土足で使用をしても問題のない耐久性です。また、床がモルタル仕上げのカフェなども多いため、そういったイメージを持って自宅の玄関をモルタル仕上げにする人も多いようです。
▼玄関リノベーションでモルタルを使用している事例はコチラ!
塩ビタイル/長尺シート
耐水性・耐久性に優れています。表面はプリントされている柄なので、大きい範囲に施工する場合は少し偽物っぽい空間に見えてしまう場合も。実際の大きさのサンプルを用いながら、選定を行いましょう。
磁気質タイル
水回りによく使用されるほど耐水性のいいタイルは、雨などによる汚れで色褪せるようなことがない仕上げ材です。表面がつるっとしているので雨の日は滑りやすく、モルタルや塩ビタイルなどの仕上げよりも費用が高くなります。
また、タイルとタイルの接合部の目地の掃除は適度にメンテナンスを行う必要性があるので、大判〜中判の大きさを選定し、目地の範囲を少なくしましょう。
実際のリノベーション事例から解説
私がデザインしたこのリノベーション事例では、お客さまの強い要望もあり土間収納にこだわってプランしました。
ここでは、土間収納への動線を二つの方向から設計しました。たくさんの買い物をしたときにそのままキッチンへ持ち運べたり、生活ゴミを一度土間収納へ運べる利点があります。
玄関以外への動線をこのようなキッチンではなく寝室などにすると、コートなどの外出時に手に取りたいものを土間収納側に置くことが可能になることや、隣り合わせの寝室・土間収納でスーツケースの中身の出し入れがしやすいなど、二方向の利便性を発揮することが可能です。
さらにこの事例の土間収納は、収納をするだけでなく“お気に入りのアウトドア用品を広げて、お庭を眺めてゆっくり過ごす”、そんな想いを詰め込んだ土間収納でもあります。
打ち合わせで「第二のリビングのような空間にしましょう」というアイデアをお客様に快諾頂き実現しました。
アウトドアを趣味とする理由の中でも「自分なりのスタイルを楽しめる」というのは多くの人に共通するそうです。
どんなアウトドア用品を買うか? どう収納するか? どう魅せるか?など、土間収納を考えるのも楽しくなりそうですね。
▼お気に入りを詰め込んだ土間収納の事例はコチラ!
では、リノベーションのデザイナーである私たちが、どんなところに気をつけてプランしているかを説明させて下さい。
ディスプレイのように使う土間収納のリノベーション
たくさん靴をお持ちの方には、シューズクロークがおすすめです!
普段履く靴をシューズクロークに収納するだけで、なんだかセレクトショップのように土間収納をディスプレイとして使用するのも個性的なリノベーション事例だと思います。
靴だけでなく、傘や帽子、カッパなどといった外での使用をすることが多い物を収納できると動線もスムーズ。帽子や腕時計、鍵のようなちょっとした小物を置くスペースがあると、忘れ物をせずに外出ができます。
▼こちらの土間収納の施工事例はコチラ!
土間収納にデメリットはある?
収納のしやすさや靴を脱がずに収納できる点、そしてオシャレを楽しむ視点でも土間収納のメリットを解説してきました。
しかし、土間収納を決める前にデメリットもしっかり理解しておきましょう。
デメリット①住まいの面積
当然ですが、玄関部分が広くなる土間収納を設計することは、居住空間の面積を狭くすることになります。
一般的な玄関と比べ、多くの土間収納が4〜10㎡ほど広く面積を必要とします。中古物件を購入してリノベーションを検討している人は、この広さを考慮して物件探しをする必要がありますね。
デメリット②床の劣化
床をモルタルもしくは土間コンクリートで仕上げる場合には、ひび割れや経年劣化による色の変化を覚悟しておく必要があります。
モルタル・土間コンクリートをどのくらいの厚みで仕上げるかにもよりますが、細かなひび割れは起きる可能性が高いです。
また、よく歩く部分とそうでない部分の色味の違いも出てきます。これを「味わい」と感じるか「汚れ」と感じるかは個人差があるので慎重に考えましょう。
まとめ:自分たちだけの土間収納をリノベーションで
土間収納スペースを構成するポイントを事例とともにご紹介させていただきました。
ぼんやりと“土間収納スペースが欲しいな”とお考えの方は、収納したい物の大きさや数を把握することで、自分に合った収納のイメージがつきやすくなるかと思います。
収納のパターンや取り付けたいパーツなどは様々ですので、リノベーションの打ち合わせを進めていく中で、いくつか提案をさせて頂いてます。自分だけの土間収納スペースをつくってみませんか?
中古マンション・中古戸建を購入してリノベーションを検討したい方はこちらから!持ち家のマンション・戸建をリノベーションしたい方はこちらから!