2024.12.11
最終更新日
2026.10.16
リノベーションのヒント

ワークスペースのリノベーション|個室・半個室・オープンの選び方と費用、夫婦2部屋の事例

マンションリノベーション
菅原沙絵
Writer
菅原沙絵
デザイナー WORKS
2017年に新卒入社以来、住宅だけではなく店舗や宿泊施設のデザインも担当してきた。
お客様の理想を正確に捉え、ヒアリングを中心にデザインしていくことを得意としているデザイナー。
CREATOR’s STORY|菅原 沙絵

ワークスペースのリノベーションは、扉で仕切る「個室」、家具や腰壁などで区切る「半個室」、リビングやダイニングの一角を使う「オープン」の3タイプから選びます。オンライン会議の多さ、家族との距離、1日に使う時間で選ぶと決めやすくなります。

この記事では、3タイプの違いと選び方、費用と広さの目安、マンションで工事するときの手続き、夫婦の会議や子どもの出入りから考える置き場所を紹介します。あわせて、もともとあった洋室を夫婦それぞれの仕事部屋にし、床と壁紙の切り替えで生活の場所と分けた兵庫県のマンションの部分リノベーションを、改修後の間取り図とお客様の言葉から紹介します。

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目次

ワークスペースのリノベーションは3タイプから選ぶ

3タイプは、仕事の場所と生活の場所をどこまで分けるかの違いです。会議の声や画面の映り込みが気になるほど個室寄りに、家族の様子を見ながら働きたいほどオープン寄りになります。

表は横にスクロールできます →

タイプ仕切り方向いている使い方気をつけること
個室壁と扉で独立した部屋にするオンライン会議が多い・長時間使う・書類を広げたままにしたい部屋の数か面積が必要。扉を閉めても声が漏れることはある
半個室腰壁・室内窓・家具・格子などで区切る家族の様子を見ながら集中したい・会議はときどき音と視線は完全には遮れない
オープンリビングやダイニングの一角にカウンターを設ける短時間の作業・家族と話しながら働きたい会議中は生活音や家族が画面に入りやすい

個室ワークスペースは会議が多い人に向く

室内窓のある部屋。目地の入ったグレーの床に木のテーブルと椅子が置かれている

個室は、壁と扉で独立した部屋を仕事場にする形です。扉を閉めれば、会議の声や画面に映るものを生活の場所と分けやすくなります。書類やモニターを出したままにできるので、1日の大半を在宅で働く人や、家族と生活時間がずれる人に向いています。

一方で、仕事用に1部屋を使うか、新しく間仕切りとドアをつくるための面積が要ります。壁と扉で仕切っても、隣の部屋に声が届くことはあります。オンライン会議の声が気になる場合は、防音の工事を別に考えます(費用は後の章で紹介します)。家族と顔を合わせる時間が減るのが気になるなら、室内窓で隣の部屋とのつながりを残す方法もあります。写真は後で紹介する兵庫県の住まいの仕事部屋で、壁に室内窓があります。

半個室ワークスペースは家族の様子を見ながら集中したい人に向く

青い壁の横の小部屋に、ゲーミングチェアとモニターのあるワークスペース。壁の開口からモニターが見える

半個室は、腰壁や室内窓、家具、格子などで区切り、完全には閉じない形です。家族と同じ空間にいながら、手元や画面は生活の場所から少し離せます。後で紹介する茨木市の事例では、以前の住まいの仕事部屋は扉を閉めると子どもが入れなかったため、新しい住まいではリビングの中にワークスペースを設けています。

音と視線は完全には遮れないため、会議が多い人は、会議のときだけ使える別の場所があるかも一緒に考えます。区切りの高さや開口の位置で、見える範囲と聞こえ方が変わります。

オープンなワークスペースは短時間の作業や家族と話しながら働く人に向く

壁一面の造作本棚の前に、モニター2台を置いたカウンターのワークスペース

オープンは、リビングやダイニングの一角にカウンターや棚を設けて仕事場にする形です。新しく部屋をつくらないため、3タイプの中では工事の範囲を小さくしやすい形です。家具を置くだけなら工事は要りませんが、カウンターや本棚を造作したり、コンセントや照明を足したりすると工事が必要になります。

家族の声や動きが近く、会議中は生活の様子が画面に入りやすくなります。会議の多い日はほかの部屋を使う、カメラの向きを壁側にする、といった使い方も含めて考えます。

ワークスペースのリノベーション費用は仕切り方と防音で変わる

費用の目安は、オープン型(カウンター設置)で8万〜30万円、半個室で15万〜50万円、間仕切りとドアを新しくつくる個室型で50万〜120万円です(いずれも1箇所・税込)。オンライン会議の声への対策として防音を加える場合は、吸音パネル(簡易)で10万〜30万円、会議の声もれ対策(中程度)で30万〜80万円(いずれも1室・税込)が別にかかります。

予算が膨らみやすいのは、個室をつくるときに、間仕切りとドアに加えて照明・コンセント・空調も一緒に考えることになるからです。夫婦2人それぞれに個室をつくるなら、こうした工事が2か所分になります。一方、使っていない部屋がすでにあるなら、間仕切りを新しくつくらずに壁紙や床を替えて仕事部屋にする方法もあります。たとえば、クロス張替え(スタンダード)の目安は1㎡あたり880〜1,100円(税込)です。

広さ別の費用や、押入れ・和室を書斎にする場合の費用は、書斎リフォームの費用の記事で紹介しています。

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ワークスペースに必要な広さは作業の内容で決める

ワークスペースの広さは、机の上に何を置くか、資料や機材をどこにしまうかで決まります。広さごとの使い方の目安は次のとおりです。

1畳未満はノートパソコン中心の短時間の作業に

1畳未満は、デスクと椅子を置ける最小限の広さです。リビングの一角や、押入れ・クローゼットの一部を使う形が考えられます。ノートパソコンやタブレットでの短時間の作業なら、この広さでも対応できます。収納が少ないため、書類や機材を置く場所は別に考えます。

1〜3畳はモニターや収納棚も置ける

1〜3畳あれば、モニターや収納棚も置けるため、在宅勤務が日常の人でも使いやすい広さです。リビングの一部を区切る、寝室にデスクを置くといった形が考えられます。

4〜6畳は個室として長時間使う人に

4〜6畳は、1部屋を仕事部屋にする場合の広さです。デスクと椅子に加えて、書棚や収納、休憩用の椅子を置く余裕もあります。オンライン会議が多い人や、仕事の資料を広げたままにしたい人に向いています。使っていない洋室や和室がある住まいでは、その部屋を仕事部屋にする選択肢があります。

マンションでワークスペースをつくるときは管理規約の手続きを確かめる

マンションで床材を替えたり間取りを変えたりする場合は、工事の前に管理組合への手続きが必要かを確かめます。

国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)では、専有部分の修繕等のうち、共用部分やほかの住戸に影響を与えるおそれのあるものは、あらかじめ理事長に申請して承認を受けることとしています。承認が要らない工事でも、工事業者の立入りや資機材の搬入、騒音・振動・臭気など工事中の影響を管理組合が事前に把握する必要があるものは、あらかじめ理事長に届け出ることとしています。同じ規約のコメントでは、その例として床のフローリングや間取りの変更などを挙げています。床材を張り替える工事については、階下への騒音を防ぐために、新築時と同等以上の遮音性能を確認するという考え方も示されています。

標準管理規約はひな型のため、実際の手続きや床材の決まりは、そのマンションの管理規約や使用細則で確認します。

参考:国土交通省「マンション標準管理規約」(令和7年改正 単棟型 第17条・同コメント・別添2)

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夫婦それぞれの仕事部屋を床と壁紙で切り替えた部分リノベーション事例

夫婦2人とも在宅で働く場合の一つの形として、兵庫県の中古マンションの事例を紹介します。部屋の数は変えずに、もともとあった洋室2部屋を2人それぞれの仕事部屋にして、床と壁紙を生活の場所と切り替えました。

在宅ワークが増えて家で働ける場所がほしかったS様のマンション

改修後の間取り図。リビング、キッチンなどの水回り、洋室、家事室、仕事部屋1・仕事部屋2が描かれている

S様ご夫妻の住まいは、兵庫県の中古マンション(約102.2㎡・4LDK・RC造・築31年)です。コロナで在宅ワークが増え、家で働ける場所がほしかったことが、リノベーションのきっかけでした。物件は、緑が近いこと、眺望、部屋の広さの順で探しています。

最初はフルリノベーションも考えていましたが、物件の予算を上げると眺望も広さも気に入る物件が見つかり、物件価格とリノベーション費用のバランスをとって部分リノベーションに切り替えました。キッチン・浴室・洗面所・トイレの位置は変えていません。

お金をかける順番を仕事部屋・リビング・和室と先に決めた

S様ご夫妻は、工事の優先順位を先に決めていました。「それぞれの仕事部屋、リビング、和室というようにお金をかけていく順番を決めた」と話しています。

改修前に洋室だった2部屋は「仕事部屋1」「仕事部屋2」にしました(S様が挙げた和室は、改修後の間取り図では「家事室」)。仕事部屋1は玄関の横、仕事部屋2はリビングの隣にあります。リビングの床は奥様が選んだオークのフローリングに、和室の襖は敷居や鴨居をそのまま使い、表面を壁紙と同じ素材にしてリビングに合う襖に作り変えました。

同じ床材を2通りに張り分けて2人の部屋に違いをつけた

グレーの壁の部屋。木のデスクにモニターとキーボードが置かれ、木製ブラインドから光が差し込んでいる

2人の仕事部屋は、実は同じ床材を使っています。1部屋は白のラインを入れてタイルのように、もう1部屋はそのまま並べてモルタルの床のように見せています。同じ素材なので2部屋の雰囲気はそろえながら、部屋ごとに違いをつけました。写真の仕事部屋は、壁紙をグレーにしています。

ご夫妻は、「各部屋ごとに内装を変えたから、お互いの部屋に入るときは”おじゃまします”という気持ちになります」と話していました。

開いたドアの下で、グレーのタイル調の床と木のフローリングが切り替わっている様子

写真は、仕事部屋のドアの下で、タイル調の床とフローリングが切り替わっている所です。

三輪 海斗三輪 海斗

担当スタッフ

床材の見切りまで細かく決めることが多いです

仕事部屋は、場所を分けるだけでなく壁紙や床材も切り替えました。部分リノベーションでは、床材が変わる所の見切り方など細かい所まで決めることが意外と多く、お客様によく驚かれます。

暮らし始めてからのS様の感想

完成後、S様は「用途によってきちっと雰囲気を変えられたし、家の中で集中して仕事ができるスペースができてすごく良かった」「リノベーション内容は予算以上に満足」と話しています。これから在宅で働く人へのおすすめを聞くと、次のように答えてくださいました。

空間の仕切りではなく、床や壁など素材を変えることで気持ちの切替がとてもしやすいのではないかと思います。この家で暮らすようになってから、仕事部屋に入ると自分の家なのに会社にいるかのようにスイッチを切替られるようになりました。

参考費用は200万円(税別・約102.2㎡・築31年)、工期は約30日です。この金額は仕事部屋だけでなく、リビングの床や和室の襖などを含む部分リノベーション全体の掲載額です。

↓こちらの施工事例もご覧ください


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ワークスペースを設ける場所は夫婦の会議と子どもの出入りで変わる

虫眼鏡と木でできた家の形の置物2つ

ワークスペースの計画では、どこに設けるか(場所)と、どこまで閉じるか(閉鎖性)を先に決めます。家で仕事をする時間が長いなら壁と建具で区切った空間を設け、軽い作業だけならダイニングテーブルで足りることもあります。

夫婦で在宅なら2人の会議が重なるかを確かめる

会議が多い場合は、声がどこまで聞こえるか、カメラにどこが映るかを考えます。夫婦2人とも在宅で働くなら、2人の会議が同じ時間に重なることがあるかも確かめておきます。兵庫県のS様の住まいのように2人の仕事部屋を別々の部屋にする形もあれば、後で紹介する大阪市北区の事例のように、夫婦で並んで使える幅のカウンターを設ける形もあります。

子どもがいるなら目が届く位置か扉で閉じるかを決める

子どもがいる家庭では、リビングから目が届く位置に設けるか、扉で閉じるかで暮らし方が変わります。茨木市の事例のように、子どもが行き来できるワークスペースにする選び方もあります。

会議の背景に映る壁は一面だけ壁紙を変える方法もある

兵庫県のS様の住まいでは仕事部屋の壁紙ごと変えましたが、デスクの正面など一面だけ色や柄を変えるアクセントクロスという方法もあります。会議の背景に映る壁なら、画面に映ったときの見え方も考えて選びます。

半個室とオープンなワークスペースのリノベーション事例

半個室のワークスペース|リビングの中に設けた仕事場(大阪府茨木市)

壁の開口の向こうで、父親と男の子がパソコンを使っている様子

「趣味も仕事もパソコン」という旦那さんのためにリビングの中にワークスペースを。
以前のお住まいでは1つの部屋として区切られていたため、旦那様が扉を閉めると息子様は入れない空間になっていました。
リビングの中に設けることで息子様は程よくお父さんの邪魔をして、仕事を見せてもらったり、遊んでもらえる子供にとっても嬉しい空間に。

↓こちらの施工事例もご覧ください

オープンなワークスペース|キッチンから見える仕事場(大阪市北区)

ダイニングの奥に、壁一面の造作本棚とカウンターのワークスペースがある住まい

私がデザイナーとして担当した大阪市北区のマンションです。

菅原 沙絵菅原 沙絵

担当スタッフ

家族を側に感じるワークスペース

キッチンから見える旦那様こだわりのワークスペース。
幅が広いので夫婦で仕事をしても十分な広さが確保できます。
後ろには壁一面の造作本棚があり、たくさんの本を収納できるようになりました。
キッチンやダイニングにいる家族とお互いの様子を感じることができるようになっています。

↓こちらの施工事例もご覧ください

ワークスペースの要点|3タイプ・費用・管理規約と兵庫県の仕事部屋

ワークスペースのリノベーションは、個室・半個室・オープンの3タイプから選びます。オンライン会議が多く長時間使うなら個室、家族の様子を見ながら集中したいなら半個室、短時間の作業ならオープンが候補になります。費用は新しく仕切りをつくるかどうかで大きく変わり、会議の声への対策として防音を加えると上乗せになります。マンションでは、床材の張替えや間取りの変更に管理組合の承認が要る場合があるため、管理規約も確かめます。

仕切りを新しくつくらなくても、使っていない部屋の床や壁紙を変えて仕事部屋にする方法もあります。兵庫県のS様の住まいでは、お金をかける順番を仕事部屋・リビング・和室と決め、洋室2部屋を夫婦それぞれの仕事部屋にして、床と壁紙で生活の場所と切り替えました。

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WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

菅原 沙絵SAE SUGAHARA

大阪府大阪市出身 / 普段からデザインを意識的に見て、自分ならどうするのか考えるようにしてます / インテリア雑貨が好きでナチュラル・シンプルなものを集めることにはまっています

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