アクリルの間仕切りで透明な壁に|子どもがいる家でガラスを避けた理由と筋交いの補強【実例】

「この壁って透明にできないですか?」。大阪市福島区の戸建てをリノベーションしたお客様が、打ち合わせで投げかけた一言です。家の真ん中にある階段の両側に壁が立ち、二つの空間が完全に分かれていました。一方で、年の近い男の子と女の子がいて、ガラスにして子どもがぶつかったら危ないという不安もありました。
子どもがいる家で透明な間仕切りを考えるときは、素材を「ぶつかったときの安全」から、壁のつくりを「その壁が建物を支えているか」から、同時に決めます。この住まいでは、素材にアクリルを選び、建物の強さを担っていた壁には筋交いを入れて補ったうえで、階段まわりを透明な壁にしました。
この記事では、壁を残す・なくす・透明にするの違い、アクリルを選んだ理由と筋交いで補った経緯、アクリルと安全ガラスをどう比べるかを、福島区の事例とあわせて紹介します。
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アクリルの間仕切りは子どもがいる家で見通しを取りたいときの選択肢
見通しを取りながら空間は分けておきたいとき、壁を透明にする方法があります。福島区の事例では、その素材にアクリルを選んでいます。キッチンから子どもの様子が見えるようにしたいとき、階段まわりや部屋の境目の壁には、残す・なくす・透明にするの3つの選び方があります。福島区の事例で、改修後の2階の間取り(下の事例で紹介)について検討した内容を並べると、次のとおりです。
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| 選び方 | 見通し | 福島区の事例で出た課題 |
|---|---|---|
| 壁を残す | 階段をはさんでキッチン側とリビング側が分かれる | 改修前から閉塞感があり、お客様が「なんとか広くならないか」と相談していた |
| 壁をなくす | 見通せる | 空調が効きにくい、手すりを付けても子どもが落ちると危ない、建物の構造の強さが弱くなる |
| 壁を透明にする | 見通せる | 素材を何にするか(ガラスかアクリルか)、建物の強さをどう補うか |
※課題は福島区の事例のインタビューで挙がった内容です。ほかの住まいで同じ課題が出るかは、間取りや建物のつくりによって変わります。
この住まいでは、階段そのものを移す案も検討しましたが、付随する工事が多く費用がかかるため見送り、階段の位置は変えずに、両側の壁を透明にする方法を選びました。
子どもがいる家で透明な壁をガラスでなくアクリルにした福島区の事例
階段の両側の壁をアクリルの透明な壁に変えた



大阪市福島区の木造3階建ての戸建て(99.27㎡)を部分リノベーションした事例です。間取り図のとおり、改修前は階段をはさんでLDKと洗面脱衣所・浴室が並んでいます。浴室を1階へ移してLDKを広げる計画にしたことで、階段をはさんでキッチン側とリビング側に分かれる配置になりました。
最初の提案は、予算との兼ね合いで階段横の壁を残す前提でした。打ち合わせを重ねるうちに「リビングを広くしたい」という希望の優先順位が高いと分かり、お客様の「この壁って透明にできないですか?」という一言から、壁を透明にする案が生まれました。
お客様が心配していたのは、子どものことです。インタビューでは「子供たちが男の子と女の子で年も近いので結構喧嘩も多くて…。危ないことをしないかどうか不安がずっとちらついている感じですね」と話しています。ガラスにすることへの不安もありましたが、アクリルの提案を受けて、「納得して選ぶことができました」と振り返っています。

住み始めてからの様子について、お客様は「リビングとダイニングで空間を分けていられながらも視線は通るので、子供たちが『今何をやっているのかな?』と気になった時もすぐに確認できるので安心して家事ができます」と話しています。お客様はこの透明な壁を「ガラスパーテーション」と呼び、「一番やってよかったなと思うところです」と答えています。

壁を透明にしても、扉を閉めれば空間は分けられます。お客様は「扉を閉めれば空調もしっかり効いてくれるので、冬もちゃんと暖かくていいですね」と話しています。
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア・種別 | 大阪市福島区・中古戸建て(木造・築25年) |
| 面積・間取り | 99.27㎡・2LDK |
| 工事内容 | 部分リノベーション(1階水廻り、2階) |
| 工期 | 約75日 |
| 参考費用 | 980万円(税別) |
参考費用は、1階の水回りと2階を含む部分リノベーション全体の掲載額です。透明な壁の工事だけの費用ではありません。
お客様が打ち合わせを振り返ったインタビューは、こちらで紹介しています。
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↓こちらの施工事例もご覧ください
建物を支える壁を透明にするには筋交いで強さを補う
透明な壁にできるかどうかは、素材だけでは決まりません。今ある壁が建物の強さを担っている場合は、壁を透明にしても必要な強さを保てるかを、施工する側と確かめます。
福島区の住まいでは、階段横の壁が建物の構造上の強さを担っていました。そのため、施工管理の西山は、最初はアクリルの壁にすることに反対していました。大工さんや私と細かく打ち合わせをして、筋交いを入れて壁の強さを取れば必要な強さを確保できると分かり、透明な壁の計画を進められました(お客様インタビューより)。

補強が要るか、完成後にどう見えるかは建物ごとに違います。透明にしたい壁があれば、プランの段階で施工する会社と確かめます。

抜けない柱や筋交いを残したまま間取りを変えた例や、壁を撤去するときの注意点は、こちらの記事で紹介しています。
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アクリルか安全ガラスかはぶつかりやすさと手入れと火の近さで比べる
素材をアクリルにするかガラスにするかは、設ける場所で子どもがぶつかりやすいか、ふだんの手入れ、近くに火を使う場所があるかを並べて考えます。
階段まわりは人がぶつかりやすく子どもほど危険が大きい場所
旧建設省が1986年に特定行政庁へ通知した「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」では、出入口や階段まわり、浴室などを、人がガラスにぶつかりやすい場所としています。階段まわりは、本人の意図に関わりなくバランスを崩しやすい場所とされ、大人より幼児や子どもの方が危険が大きいと考えるべきとしています。
同じ指針では、割れても安全なガラス(安全ガラス)として、合わせガラスと強化ガラスを挙げています。ガラスを選ぶ場合も、安全ガラスにする方法があります。この指針は、行政上の参考として示されたものです。
参考:国土交通省「『ガラスを用いた開口部の安全設計指針』について」(昭和61年 建設省住宅局建築指導課長通達)
アクリルか安全ガラスかは、見え方や板の厚み、表面の傷の付き方、費用が製品によって変わるため、見本を見ながら施工する会社と比べて決めると安心です。
アクリルはアルコール消毒で傷むことがあるので手入れの方法を確かめる
国民生活センターは、アクリル樹脂製品はアルコール消毒によって亀裂が生じ、破損に至る可能性があるとしています。消毒の前に取扱説明書でアルコールを使えるかを確認し、アクリル樹脂であれば台所用洗剤を使うなどの方法を示しています。透明な壁は手で触れやすい場所なので、拭き掃除や消毒に何を使えるかを、引き渡しのときに聞いておきます。
参考:国民生活センター「アルコール消毒で合成樹脂製のドアノブが破損」
こんろやストーブの近くに置くなら距離を確かめる
北九州市消防局は、飛沫防止用にビニール製シートやアクリル板などを設ける場合について、こんろ、ストーブ、白熱電球などの付近には設置しないよう呼びかけています。住まいの間仕切りでも、キッチンのこんろや冬に使う暖房器具の近くに透明な壁を設ける計画なら、位置関係を施工する会社と確認しておくと安心です。消防庁も令和2年の事務連絡で、店舗のレジカウンターなどに設ける飛沫防止用のシートについて、材質によっては着火・燃焼しやすいものがあるとして、熱源となるものから距離をとることなどを示しています。
参考:北九州市「ビニール製飛沫防止シート等を設置する際の注意事項について」/消防庁「飛沫防止用のシートに係る火災予防上の留意事項について」(令和2年6月1日 事務連絡)
LINEで相談・無料診断リノベーションについて相談するアクリルの間仕切りは子どもの安全と壁の役割を一緒に見て決める
子どもがいる家で透明な間仕切りを選ぶときは、ぶつかったときの安全と、その壁が建物を支えているかを一緒に見ます。福島区の住まいでは、階段まわりの壁の素材にアクリルを選び、建物の強さを担っていた壁には筋交いを入れて補いました。ガラスにするなら、合わせガラスや強化ガラスといった安全ガラスがあります。アクリルにするなら、アルコール消毒で亀裂が生じる可能性があるため取扱説明書などで手入れの方法を、こんろや暖房器具の近くに設けるなら位置関係を確かめておきます。
壁一面でなく、壁の一部だけ見通せればよい場合は、室内窓という方法もあります。室内窓の種類や、ほかの間仕切りの方法は、こちらの記事で紹介しています。
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キッチンから子どもの様子が見える間取りを、ほかの工夫も含めて比べたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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透明にしたい壁が建物の強さを担っているか、筋交いで補えるかは、住まいごとに確かめる必要があります。お問い合わせいただければ、その壁を残すか、透明にするか、なくすかを、建物のつくりと、キッチンからどこまで見通したいかの両方から一緒に検討します。子育てと家づくりをあわせて考えたい方には、勉強会もおすすめです。
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担当デザイナー
階段まわりの壁をアクリルに
ガラスにすると、お子さんがぶつかったときに危ないので、同じように見通せるアクリルをご提案しました。階段は蹴込みのないスケルトン階段にし、手すりも既製品のサイズではなく大工さんに細くカットしてもらって、視線を遮らないようにしています。キッチンとリビング、別々の場所にいても顔が見えるので、つながりを感じられます。