【事例・費用で解説】階段の悩みをリノベーションで解決するには?
ご自宅の階段に悩みや問題を感じることはありませんか?
階段の音がきしむ、足元が暗くてよく見えない、床が滑りやすくて危ない、といった経年劣化による悩みは階段のある家に住んでいると大きな悩みの種になりますよね。「登るのが辛いなと思っていたことさえ、いつの間にか忘れていた」という人も多いようです。
1階と2階を繋ぐ大切な動線である階段の悩みがなくなるだけで、居住空間はグッと良くなります。
今階段に悩みがあるなら、問題を解決してより住みやすい住まいにリノベーションしていくのはどうでしょうか。
今回は階段のリノベーションについて紹介していきます。
目次
階段の問題・悩み
階段に関する悩みや問題は機能性に関わるものやデザイン性に関わるものなど、多く挙げられます。
リノベーションを考えるのは特に機能性に関して問題を感じた時かもしれません。また中古物件を購入してリノベーションする際に、家族の将来をイメージして階段の位置や登りやすさなどをプランしたい人も多いはず。
階段のリノベーションでは、デザイン性を高めることと機能性を高めることのどちらにもアプローチできます。
まずは、階段に感じる悩みや問題とはどういうものなのか見ていきましょう。
足元が不安
階段の機能に関する問題として一番に挙げられるのが「階段がきしむ・滑りやすくて危ない」といった問題です。毎日使う階段が昇り降りする度にきしんだ音をたてるのは、あまり気持ちいいものではありません。また滑りやすくて危ない場所もできれば家の中から排除しておきたいですよね。
音がきしむのは階段の老朽化と考えられ、この場合には階段の架け替え工事をすることになります。
階段の架け替え工事は今ある階段を取り外すので、工事期間には階段を使うことができません。その代わり、床材や階段のサイズなど一から自分たちの希望の階段を作ることができるので、階段に関わる悩みが一番解消される方法でもあります。
また、「床が滑りやすい」という問題には、掛け直ししなくても、床材を変えたり、滑り止めを設置する工事で対応できます。滑りにくい素材やクッション性のある素材を使用することで、安心できる階段になります。
昇り降りが不安
階段の昇り降りが不安な場合に手すりの設置やつけ直しのみを行うこともあります。
階段には安全性の面から、手すりの設置か、もしくは壁に面して作られるように義務付けられています。もし今の階段が壁に面していて手すりがない場合には、手すりを付けるだけで昇り降りの不安を解消できるはずです。
手すりが古くなってガタついているのも階段では大きな不安要素になりますので、「手すりは付いているから大丈夫」ではなく、安全な手すりになっているかも確認しましょう。
また、「暗くてよく見えず怖い、危ない」という悩みもよく聞きます。特に古い家では階段が暗いことが多く、階段の昇り降りに不安を感じますよね。
こういった問題には階段そのものをリノベーションするのではなく、照明を設置したり、採光のために窓を設置するという対処をしていくことになります。床材が暗い色の場合は明るい床材に変えることでも階段の空間自体が明るくなるので、照明・採光と合わせて床材の色の見直しをしてみましょう。
急勾配(きゅうこうばい)・階段の角度に不満
階段の使い勝手が悪いと感じるのは階段の勾配が関係している場合が多いです。階段の昇り降りが辛かったり、特に降りる時に転げ落ちそうで危ないと感じる場合には、勾配を緩やかにすることで安全性を高められます。
階段の勾配を緩くするには、階段のスペースを広げて段差を増やす方法がありますが、スペースの拡張ができない場合には1段ごとの段差を低くし、段数を増やすだけの工事でも緩やかになります。この場合には特に階段一段ずつの高さや、足を載せる(踏む)部分の寸法を見直し、踏みやすい階段になるようにしていきます。
階段の悩みをリノベーションで解消
階段のリノベーションを検討する際は、どこに注意して考えると良いのでしょう。リノベーション業者に相談する際にも、みなさんの要望を伝えやすくするために抑えておきたいポイントを説明します。
階段に使う面積を再検討する
そもそも違うフロアーを行き来するための階段ですが、その高さを登っていく階段の面積は適正でしょうか。古い建物ほど階段の勾配が急なのは、階段に使っている面積が狭いことに原因があります。
また、人が通るという観点でも横幅は考える必要があります。横幅が狭いと、上層階に大きなものを運びにくかったり、場合によっては運べないことがあります。
勾配や横幅だけでなく、階段の細かい寸法は住む人のライフスタイルや価値観に合わせてプランするべきです。
ゆったりした階段を求めればおのずと階段に使う面積は広くなります。
違うフロアーを行き来するだけの階段なのか、空間のゆったり感を演出するインテリアとしての階段なのかなど、目的をはっきりした上で階段の面積を検討する必要がありますね。
蹴上げ(けあ-げ)と踏面(ふみづら)
ここで「蹴上げ」と「踏面」について知っておくと勾配の調整をする時に相談しやすくなります。
「蹴上げ」とは階段の段差の高さを指し、「踏面」とは階段で足を乗せる部分のことを言います。これらは階段の使用において安全性に深く関わってくるため、手すりの設置と同様に、法律で規定のサイズが決められています。
勾配を緩やかにするには蹴上げの高さを低くし、踏面を広くとる方がいいのですが、蹴上げが低いと段数が増えますし、踏面が広すぎると大股で昇り降りする必要が出てきます。「緩やかにしたい」と思っていても、蹴上げと踏面のバランスが大事であることを覚えておいてください。
具体的にどのくらいのバランスがいいのかは階段を使用する人の年齢や体格などによって違います。リノベーションのプランニングの段階で家族構成などを伝えると使用する人に合ったバランスをアドバイスしてもらえるので、リノベーション業者とよく相談しましょう。
部分改修なのか架け替え工事なのか
こちらは「現状使っている階段の表面的な老朽化が不満なのか」という視点で考えるといいでしょう。
「踏面がへこんできている」「劣化したところに靴下などをひっかけてしまう」「階段部分が暗い」などは部分改修で十分です。
上記に加え、「階段の勾配や横幅を見直したい」「階段の位置が生活動線を不便にしている」なども解消したい場合は、架け替え工事を検討する必要があります。
最近では、「リビングに開放的な階段を設置したい」という要望も増えてきています。テレビドラマなどで見かけるような上層階からリビング階段を降りてくるシーンなどを思い描いている人は、リビングのプランとあわせて階段の架け替え工事を考える必要がありますね。
階段前後の間取りとの検証が必要
架け替え工事を検討される人は、階段を行き来する前後の間取りにについても使いやすさやライフスタイルを検証する必要があります。
「子どもにはリビングで宿題をやってほしい」「子どもが帰宅した際にそのまま自室に行って欲しくない(顔を合わせたい)」というご家族も増えてきたようです。
例えば、学校から帰ってきた子どもの自宅での過ごし方(スケジュール)が以下のような場合、リビングに階段を設置した場合は、①玄関→②自室、そして④夕食→⑤宿題のタイミングが家族の顔を合わせる時間になります。
① 学校から帰宅(玄関)
② 自室
③ お風呂
④ 夕食
⑤ 宿題
⑥ 就寝
しかし、玄関からすぐの位置に階段がある場合、④夕食が唯一の子どもと顔を合わせる時間になってしまいます。
脱衣所・お風呂もリビングを通る間取りにすると、家族の顔を合わせる時間がさらに増えることになります。
階段の前後にどういった間取りをプランするかで、家族との向き合い方まで変わりそうですね。
階段にリノベーションで付加価値を
階段のリノベーションにかかる費用はピンキリですが、どうせリノベーションするのであれば悩みを解消するだけでなく付加価値を加えることも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
デザイン性を高める階段のリノベーション
階段のリノベーションでは使い勝手だけでなく、インテリアや空間デザインに合わせてテイストを変えることも一つの楽しみです。
前述したリビングにゆったりした階段を設置するのは、空間の演出として好きな人におすすめです。
階段がある部分を「階段室」と言いますが、リビングに設置する場合は階段室の壁を設けないことで、室内の開放感にも繋がります。
また、「ストリップ階段」というのも人気です。
踏み板と骨組みだけで構成されている階段を指し、スケルトン階段やオープン階段と呼ばれることもあります。
▼ストリップ階段のリノベーション事例
「足が入りそうで怖い」という方もいますが、リノベーション業者にしっかりとした寸法でプランしてもらうことで安全な階段にリノベーションすることが可能です。
こういった階段の種類を変えたり、位置を変えるリノベーションは大掛かりな工事になるため、工事期間中に階段が使えないことや、費用についてもたくさんの打ち合わせをリノベーション業者と重ねる必要がありますが、住まい全体のリノベーションを検討している人にはオススメのリノベーションでもあります。
少し変わった事例として、階段室の壁面をガラスにすることで開放感を出す方法もあります。室内の面積があまり広くない場合どうしても圧迫感を感じざるを得ません。ガラスの壁面を採用することで視覚的に広く見せる工夫もできそうですね。
▼階段室壁面をガラスにした階段リノベーション事例
住まいの中で、利便性を感じやすい水回り設備や、デザイン性を感じやすいリビングや玄関と違って、階段については日常生活において深く考えることは多くないですよね。
せっかく階段のリノベーションを思い立ったのであれば、デザイン性まで欲張っても良いかもしれませんね。
機能性を高める階段のリノベーション
階段下に収納スペース作るなど、機能性を高める階段のリノベーションについても見てみましょう。
お掃除ロボットなど、わざわざしまうのは手間、かといって出しっぱなしにしておくのも気が引けるようなものでも、階段の一番下にスペースを作るだけで隠しておくことができます。
▼階段下に収納スペースを作った階段リノベーション事例
収納スペース自体はクローゼットのように扉をつけることも、オープンにした収納スペースにすることもでき、階段自体に奥行きがある分、収納力があり、今の階下のスペースを狭める心配もありません。
また、リビングに階段を設置する場合、階段横にテレビを設置するのも空間の有効活用につながります。
▼階段下にテレビを設置した階段リノベーション事例
テレビボードを置かない分、空間が少しだけ広く見えるのが特徴です。周辺機器も階段下に収納できるようにリノベーションするのも良いかもしれませんね。
収納スペースに限らず、書斎スペースにしたり、子どもの遊ぶ空間を作ったりと、階段下の利用の幅は広がっています。階段のリノベーションとなると階段そのものに集中してしまいますが、機能性を高める付加価値についても注目すると良いでしょう。
階段リノベーションの事例と費用
階段リノベーションは、かけ直しなどで大規模な工事になることが多いため費用が心配になる方も多いと思います。目安になる費用を知っておくと検討もしやすいですよね。
階段の工事内容別で見る費用の目安
手すりの設置・つけ直し
手すりの設置やつけ直しのみの工事にかかる費用は8~20万が費用の目安です。上でも述べているように、手すりは階段の安全性を高める大事な役割を担っています。
今の階段に「音がきしむ・滑りやすい」といった問題がなくても昇り降りに不安を感じる時には、手すりの設置だけで昇り降りの不安が解消できます。
収納スペースを作る
階段下を利用した収納スペースを作るのは10~30万ほどでできます。既存の階段を利用して階段下に収納を整備することができるので、階段自体に問題がなくても収納スペースの確保という面でこちらのリノベーションを検討してみるのもいいでしょう。
床材(踏板/ふみいた)の張り直し
踏板の傷や汚れが気になったり、滑りやすい場合には床材の変更のみの工事になります。費用の目安は15~30万円です。もとの階段がカーペットなら、カーペットの張り替えのみで4~8万円程度で済ませることもできます。
カーペットだった階段の床をフローリング仕様にすることもできます。費用は少し上がりますが、仕上げたい階段のイメージに合わせて選びましょう。
階段の架け替え
今の階段を取り外して新しい階段を架け直すのは60~100万円みておくといいでしょう。大規模な工事になり、階段を使用できない期間もできますが、一から作り直すので蹴上げの高さ・踏面の広さを自分たちに合わせたサイズにできますし、デザインも自分たち好みの階段にできます。
老朽化による問題が発生している場合には階段の架け替えがおすすめです。
階段の位置・種類の変更
階段の位置を変えたり、階段の種類を変更するには150~300万円ほどかかります。
繰り返しになりますが、階段の位置や種類の変更は上下階の柱や壁の構造上、不可能なこともあります。また上下階の間取り変更も伴ってくることが多いため工事期間に住めなくなることもあります。
間取りの変更を伴うような階段のリノベーションではもとの構造からどれだけの変更ができるのか、リノベーション業者とよく相談してプランニングしていきましょう。
「階段の架け替え」「階段の位置・種類の変更」は高額なイメージを受けますが、階段そのものについて工事が高額になるのではなく、階段周辺の解体工事や大工(造作)工事が多いため高額になると言った方が正しいです。
そもそも住まい全体をフルリノベーションする場合は、間取りを変えたり、住まい全体の補強工事に含まれる工事工程と重複する部分が多いので、実際には階段本体の追加費用のみで階段部分のリノベーションができます。フルリノベーションであれば意外に安い金額で実現できると言うことも合わせて覚えておきましょう。
階段リノベーションでより住みやすい住まいに
階段は家の中で大切な導線になります。毎日使い、一歩間違うと大きな怪我に繋がる恐れもあるため、住みやすさと安全性は両立したいところです。
一方で大きなスペースを仕様するため、家の中のデザインにも大きく影響します。たとえば、リビング内に階段があると、存在感があり、見た目も重視されるでしょう。
機能性・安全性・デザイン性の多角的な視点で、悩みを解決するためにもリノベーション会社に本音の部分から伝え、具体的な原因や改善方法をアドバイスしてもらうところから始めてみましょう。
中古マンション・中古戸建を購入してリノベーションを検討したい方はこちらから!持ち家のマンション・戸建をリノベーションしたい方はこちらから!