2026.10.15
最終更新日
2026.10.16
リノベーションのヒント

猫と暮らす家のペットドア、どこに付ける?付けない部屋から考える間取りの実例

戸建のリノベーション事例

「最初は全ての扉に検討してましたが、入って欲しくない家事室やキッチンにはペットドアを設けなかったり」。兵庫県川西市の中古戸建てをリノベーションし、猫と暮らすC様ご夫婦のご主人が、住み始めてからの感想として話した言葉です。

猫と暮らす家にペットドアを付けるとき、迷うのは「どの扉に付けるか」です。全部の扉に付ければ猫は家中を通れますが、キッチンのように入られると困る部屋にも入れてしまいます。決めやすいのは、先に猫に入ってほしくない部屋を決めてその扉を候補から外し、外した分の通り道をほかで補う順番です。C様の住まいでは、キッチンと家事室を外し、階段とリビングのキャットウォークをつないで、扉が閉まっていても猫が家の中を回れるようにしました。

この記事では、ペットドアを付けない扉の決め方を、川西市の戸建ての実例(扉ごとの判断、キッチンを独立させた理由、玄関の飛び出し対策)とあわせて紹介します。

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猫のペットドアを付けない部屋は入ってほしくない理由から決める

C様の住まいで、扉と通り道をどう扱ったかを場所ごとに並べると、次のとおりです。

表は横にスクロールできます →

場所扉・通り道の扱い事例で語られた理由・ねらい
キッチン(1階)ペットドアを付けない。キッチンを独立した部屋にし、リビング側の壁に室内窓を設けた誤食などで危険な目に遭わないため。室内窓は、キッチンを独立させても圧迫感を感じないため
家事室(2階)ペットドアを付けない猫に入ってほしくない部屋のため
猫トイレに続く扉扉にお家の形の開口を設けた猫専用の通路猫がトイレへ通れるように。お家の形は、通る姿がかわいく見えるように
階段とリビングの間の壁壁に開口を設け、リビングのキャットウォークとつないだ扉が閉まっていても家中を回れるように
玄関に入ってすぐの扉ガラス扉にし、両側から使える鍵を付けた急な飛び出しを防ぎ、猫が扉を開けられないように

※理由・ねらいは、この住まいの施工事例と施主インタビューで語られた内容です。

全部の扉にペットドアを検討しキッチンと家事室には付けなかった

兵庫県川西市の中古戸建て(木造・築44年・約80.0㎡・3LDK)を、ご夫婦2人の暮らしに合わせてフルリノベーションした事例です。コンセプトは「人も猫も快適に暮らせるお家」。改修前は1階に和室・洋室・キッチン、2階に和室2室と洋室がある間取りで、改修後は1階をキッチンとリビング・ダイニング、2階を寝室・洋室・家事室・WIC(ウォークインクローゼット)にしています。

打ち合わせでは、奥さまが「キャットウォークの棚の高さだったり、全部の扉をペットドアにするのか…とか」と振り返るほど、猫のことを中心に話し合いました。

インタビューでこの話に添えられた改修後の間取り図には、猫の通り道が黄色の線で描かれ、扉に×印が付いています。2階では階段から寝室と洋室へ矢印が伸び、家事室の扉に×印があります。1階ではキッチンの扉のほか、廊下に面したトイレなどの扉にも×印があります。

改修後の1階の間取り図。黄色の線が階段から廊下を通って洗面所の猫トイレへ伸び、キッチンやトイレなどの扉に×印が付いている
改修後の1階
改修後の2階の間取り図。階段から寝室と洋室へ黄色の矢印が伸び、家事室の扉に×印が付いている
改修後の2階

猫トイレに続く扉は、お家の形の開口がある猫専用の通路にしています。猫トイレは1階の洗面所と2階の寝室の2か所に作り、どちらにも換気扇を付けました。

扉に開いたお家の形の開口から、前足を出して出てくる猫

↓こちらの施工事例もご覧ください


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キッチンにペットドアを付けず独立させたのは誤食を防ぐため

C様の住まいでは、誤食などで危険な目に遭わないように、キッチンを個室にしてペットドアも付けていません。

ご主人には、LDKを一体にした間取りへの憧れもありました。インタビューでは「やっぱり一体になっているからLDKが広く見えるし、コミュニケーションが取りやすくていいなとは思った」と話しています。それでもキッチンを分けたのは、以前住んでいた家で、シンクの中に猫が入ったことがあったからです。そのときは、入らないように蓋をして対応していました。

奥さまによると、引っ越してからも、階段下の収納にしまっていたおやつに猫が夜中に頭突きをしたことがありました。今はおやつをキッチンにしまっていて、「キッチンは独立させるようなプランにして正解だったなと思っています」と話しています(いずれも施主インタビューより)。

独立したキッチン。シンクの前の黒い枠の室内窓からリビングのキャットウォークが見え、右手に木目の扉がある

当時この住まいを担当したデザイナーは、キッチンとリビング・ダイニングを分けないお客様も多いなかで、C様から「分けないと食べる可能性ありますよ!」と教わり、その後は別のお客様にも伝えていると話していました。

キッチンを独立させると、圧迫感が気になることがあります。C様の住まいでは、ご主人の希望でキッチンとリビングの間の壁に室内窓を設けました。リビング側から見ると、室内窓の上をキャットウォークが通っています。

グレーの壁に黒い枠の室内窓があり、窓の上のキャットウォークを猫が歩いている。窓の向こうのキッチンに人がいる

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、チョコレートについて、犬ほどではないものの猫でも嘔吐や下痢などの症状を起こすことがあるとし、室内で飼う場合は買い置きのチョコレートなどを部屋に放置しないよう注意を促しています。食べ物を置く場所を、猫が入れる部屋と分けておくかどうかは、間取りを決める段階で考えておけます。

参考:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」(p.9「注意が必要なもの、与えすぎないほうが良いもの」)

キッチンを扉で仕切る場合に、格子の扉にしてキッチンにも空調が効きやすくする方法は、猫カフェの工夫を紹介したこちらの記事にあります。

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扉が閉まっていても家中を回れるように階段とキャットウォークをつなぐ

C様の住まいでは、リビングのキャットウォークを2階への階段とつなぎ、扉が閉まっていても家中を回れるように計画しました。

もともとC様からは、キャットウォークを遊ぶためだけでなく、別の部屋に移動するときにも使えるものにしたいという要望がありました。当時の設計チームが、壁に開口を設けてキャットウォークとつなぐ案を出し、キッチンを眺めたり、角で昼寝をしたりもできるキャットウォークになっています。

白い壁の四角い開口から猫が顔を出している。開口の下に木の板のキャットウォークがある

ご主人は住んでからの感想として「階段には猫専用の通り道があったり」と挙げ、奥さまも「私たちがリビングで寛いでいると、ひょっこりと顔を出してくれます」と話しています(施主インタビューより)。

キャットウォークの幅や設置のポイント、ほかの事例は、こちらの記事で紹介しています。

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玄関に入ってすぐの扉はガラス扉と両側から使える鍵で飛び出しを防ぐ

C様の住まいでは、玄関に入ってすぐの扉をガラス扉にしました。急な飛び出しを防ぎ、猫の様子を見ながら扉を開け閉めできます。扉は両側から使える鍵を付けて、猫が開けられないようにしています。

上部がガラスの木目の扉の向こうに座り、こちらを見ている猫

奥さまは「玄関に入ってすぐの扉もそうですが、危険な目に遭いそうなところは間取りなどで解消ができたので、私たちもすごく安心です」と話しています(施主インタビューより)。

外への飛び出しを防ぐ備えは、猫を屋内で飼うことにもつながります。環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」は、猫の飼い主は疾病の感染防止や不慮の事故防止などの観点から、屋内で飼うよう努めることとしています(屋内以外で飼う場合に努めることも別に定めています)。

参考:環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号)第5の2

玄関に格子の扉を付ける方法や、そのほかの猫と暮らす工夫は、こちらの記事でも紹介しています。

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猫のペットドアを付けない扉は間取り図で閉めたあとの通り道まで確かめて選ぶ

C様の住まいの決め方を自分の家に当てはめるときは、間取り図を見ながら次の順に確かめます。

猫に入ってほしくない部屋はどこか

C様がシンクの件からキッチンを外したように、今の暮らしで猫が入って困った場所や、食べ物・猫に触らせたくない物を置いている場所を思い出してみると、ペットドアを付けない扉の候補が見えてきます。

扉を閉めたままでも猫トイレや過ごす場所へ行けるか

ペットドアを付けない扉を決めたら、その扉を閉めた状態で、猫がトイレや普段過ごす場所までたどり着けるかを間取り図で確かめます。C様の住まいでは、猫トイレを1階と2階の2か所に置き、トイレへ続く扉には猫専用の開口を設け、階段とリビングはキャットウォークでつないでいます。

ペットドアや猫の設備は猫の体の大きさに合わせられるか

C様の住まいでは、外を眺めるための窓台を猫の体の大きさに合わせて作り、キャットウォークの棚の高さも打ち合わせで決めました。ペットドアや開口の大きさ・高さも、飼っている猫の体の大きさを設計の担当者に伝えて決めます。

猫のペットドアは付けない扉を決めてから通り道を補う

C様の住まいでは、全部の扉を候補にしたうえで、キッチンと家事室を入ってほしくない部屋として外し、猫トイレへの開口と、階段とつないだキャットウォークで通り道を確保しました。玄関に入ってすぐの扉は、ガラス扉と両側から使える鍵で飛び出しに備えています。

C様ご夫婦が猫のための家づくりを振り返ったインタビューは、こちらです。

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猫と暮らすほかの住まいの実例は、猫と暮らす住まいの施工事例から探せます。

リノベーションを始める前に全体の流れを知りたい方は、勉強会もご覧ください。

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WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

高橋 桃子MOMOKO TAKAHASHI

和歌山県和歌山市出身 / 実際の現場だけではなく、資料など全ての細部にまでこだわるようにしています。 / 海辺のお家を購入後に自分好みにリノベをして、猫とのんびり住むのが将来の夢の1つです

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