リフォームはどこまでやる?予算をかける所の決め方3つと実例8件

「やりたいことはたくさんあるけれど、限られた予算の中でどこまでやりたいことができるのか分からない」。半年以上かけて家を探した大阪市福島区のご家族は、こう相談するところからリノベーションを始めました。
リフォームをどこまでやるか迷ったら、①雨風から建物を守る所、②家族が毎日長くいる場所の順に予算を配り、③まだ使える設備・建具・家具は残して今の暮らしに合わせ直す、という順で考えると、手を入れる範囲を絞れます。大阪府高槻市の戸建てでは、屋根の葺き替えと2階に工事を集中させ、1階の浴室・洗面台・トイレや3階の寝室はそのまま使いました。
この記事では、この3つの決め方を、クジラが手がけた関西の実例8件の費用と、手を入れた所・そのまま使った所で紹介します。
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リフォームをどこまでやるかは「修繕が必要な所」と「暮らしが変わる所」で決める
高槻市の中古戸建て(S造+木造・約91㎡・約築26年)は、中古住宅を購入した30歳前後のご夫婦の住まいです。限られた予算のなかで、屋根などの老朽箇所を修繕しながら、希望する住まいをどこまで実現できるのかを考えるところから計画が始まりました。
選んだのは、古いものを一律に交換するのではなく、「修繕が必要な場所」と「暮らしを変える効果の大きい場所」に予算を配る方法です。修繕が必要な場所は屋根、暮らしを変える効果の大きい場所はご夫婦が日常の多くを過ごす2階でした。参考費用は約980万円(税別)※家具・家電除く、工期は約60日です。

2階は、和室とLDKの間仕切りをなくしてひと続きにしました。写真の手前右が元の和室につくった小上がりで、奥にキッチンがあります。
↓こちらの施工事例もご覧ください
高槻市の戸建ての配り方を3つに分けたのが、次の決め方①〜③です。ほかの実例も、この順に当てはめて見ていきます。
決め方①:雨風から建物を守る所は先に予算に入れる
屋根や外壁、窓のように雨風から建物を守る所は、傷んでいるなら、内装より先に予算の枠を取っておきます。高槻市の戸建てでも、限られた予算のなかで優先した2つのうち1つが、屋根の葺き替えでした。
- 高槻市の戸建て 予算をかけた所:屋根の葺き替え/そのまま使った所:1階の浴室・洗面台・トイレ、2階のトイレ、3階の寝室と洋室
- 大阪市淀川区の戸建て 予算をかけた所:外壁工事・一部サッシ交換・水回り交換・内装工事/そのまま使った所:階段(腰壁の形を変えて広く見せた)
淀川区の戸建て(S造・約97.61㎡・築27年)は、ご実家を引き継いだ住まいです。触りたい部分と既存のまま使える部分を分けて、予算のバランスをはかりました。外壁と一部のサッシを含めた部分リノベーションで、参考費用は1,500万円(税別)、工期は約90日でした。
戸建ての建物を守る工事は、クジラの目安で次のとおりです(いずれも税込)。
- 屋根の葺き替え:120万〜260万円(1棟。瓦からガルバリウムに替える場合は高くなる)
- 屋根のカバー工法(重ね葺き):80万〜150万円(1棟)
- 屋根の塗装:25万〜70万円(1棟)
- 外壁の塗装:60万〜160万円(30坪の戸建て1棟)
葺き替えか、重ね葺きか、塗装で足りるかは、屋根の傷み方を現地で見て決めます。中古の戸建てを買う場合は、内装の希望を出す前に、屋根・外壁にいくら要りそうかを先に聞いておくと、残りの予算で何ができるかを考えやすくなります。
LINEで相談・無料診断リノベーションについて相談する決め方②:家族が毎日長くいる場所に予算を寄せる
建物を守る所の次は、家族が毎日長くいる場所に予算を寄せます。取り上げた実例では、多くがLDKでした。宇治市のマンションのように、床や照明など毎日目に入る所に絞ってかける方法もあります。
- 高槻市の戸建て 予算をかけた所:2階のLDKと和室をひと続きにし、コの字型のキッチン、小上がり、造作収納をつくった/そのまま使った所:1階・3階
- 京都府宇治市のマンション 予算をかけた所:床・LDKで目に入る素材・照明/そのまま使った所:浴室・洗面台

高槻市の戸建てでは、襖で仕切られていた和室を小上がりにつくり変え、脇に足を下ろして使える造作デスクを置きました。奥様が一番心配されていたのは、暮らし始めてから収納が足りなくなることでした。そこで、キッチンのカウンター下やデスク下、壁の奥行きを取れる場所に収納をつくっています。
宇治市の中古マンション(RC造・68.35㎡・2LDK・築15年)は、ホテルのような落ち着きのある住まいを望んだお二人の住まいです。守るべき予算と希望のバランスを取るため、最初に「手を加える範囲」を決めました。とくに予算をかけたのは、部屋全体に広がり、住まいの雰囲気を大きく左右するフローリングです。参考費用は675万円(税別)、工期は約68日でした。

床は石目調のフローリングにし、テレビの後ろには既存の壁の手前に新しい壁を立てて、間接照明を見えないように取り付けました。浴室と洗面台はそのまま使っています。
大阪市福島区の戸建て(木造・99.27㎡・築25年)も、家族で過ごす時間が長いLDKにこだわって設計した住まいです。工事は1階の水廻りと2階の部分リノベーションでした(980万円(税別)・工期約75日)。
床の張り替えは、クジラの目安で52万〜100万円(税込。3LDK・約70㎡の住まい1戸)です。家族が長くいる部屋だけに絞るか、住まい全体を張り替えるかで、ここが大きく変わります。
決め方③:まだ使える設備・建具・家具は残して合わせ直す
浴室やキッチン、扉、家具は、まだ使えるなら残し、色や置き方を変えて新しい部屋になじませる方法があります。残した分の予算を、①と②に回せます。
兵庫県西宮市の中古マンション(RC造・65㎡・3LDK・築約42年)は、奈良の戸建てから奥様のご実家のマンションへ移ったご夫婦のセカンドライフの住まいです。「まだ使えるものを買い替えるのはもったいない」という思いから、家具も買い替えていません。参考費用は647万円(税別)※家具・家電除く、工期は約50日です。
- 西宮市のマンション 予算をかけた所:キッチン本体の交換、和室を寝室の洋室に、押入れをウォークインクローゼットに、書斎のクローゼットを撤去して出入口をLDK側へ/そのまま使った所:浴室、洗面脱衣室、バルコニー側の4.5畳の洋室、3LDKの間取り、リビングドア、これまでの家具
藤本 恭好担当デザイナー
残すことから考える
今回のリノベーションは、すべてを新しくすることが目的ではありませんでした。これからの暮らしと予算のバランスを考え、浴室や洗面脱衣室、バルコニー側の4.5畳の洋室、それぞれ既存のまま利用することにしました。3LDKという間取りは大きく変えていません。その代わりに考えたのが「今あるものをこれからの二人の暮らしにどう合わせ直すか」ということでした。

ご実家で使われていたアーチ型のリビングドアは交換せず、新しく付けた扉のアンティークブルーに近い色に塗り替えました。改修しない部屋の白い扉も、リビングのアクセントクロスの色に合わせて塗っています。

キッチン本体は交換しましたが、シンクの向かいには、ご実家で使われていた引き出しキャビネットを置き、集成材で囲って作業台にしました。書斎には、これまで使っていたスチールラックをすべて持ち込み、並べ方を変えて約6畳に収めています。
↓こちらの施工事例もご覧ください
ほかの実例でも、残した物があります。
- 大阪市淀川区のマンション(約35.8㎡・築53年・520万円(税別)※家具・家電除く):既存の吊り戸棚をそのまま使い、新しいキッチン本体の色を吊り戸棚に合わせた
- 東大阪市のマンション(約72.0㎡・築34年・550万円(税別)):食洗機やオーブンの付いたキッチンを既存のまま使い、フリースペースは天井・壁・床をほとんど工事せず、壁面に本棚と机をつくった
- 堺市堺区の戸建て(約153.74㎡・築約29年・860万円(税別)※家具・家電除く):造作で引き出しまでつくると費用が大きく上がるため、小上がりの収納には、お客様が用意したキャスター付きの収納が収まる形で大工さんが施工した
宇治市のマンションでは、オートロックと連動していて交換できないモニターフォンに、壁と同じクロスで仕上げたカバーを造作しました。マンションでは、このように交換できない設備が残ることもあります。
残した設備を交換した場合の費用は、クジラの目安で次のとおりです(いずれも税込)。残すかどうかを決めるときの比べる材料になります。
- ユニットバスの交換:70万〜130万円(マンション1箇所。戸建ては80万〜150万円)
- 洗面台の交換のみ:10万〜30万円(既製品・1箇所)
- I型システムキッチン(対面)の交換:60万〜110万円(1台)
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リフォームをどこまでやるかは、雨風から建物を守る所に先に予算を取り、次に家族が毎日長くいる場所に寄せ、まだ使える設備・建具・家具は残して合わせ直す、の順で決めると絞れます。
取り上げた8件の条件は次のとおりです。参考費用は事例ページの掲載額で、掲載年の金額です。
表は横にスクロールできます →
| 事例 | 住まい・工事 | 手を入れた所 | そのまま使った所 | 参考費用(工期) | 事例の掲載年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大阪府高槻市 | 中古戸建て(S造+木造・約91㎡・約築26年)。2階のフルリノベーション | 屋根の葺き替え、2階のLDK・和室 | 1階の浴室・洗面台・トイレ、2階のトイレ、3階の寝室と洋室 | 約980万円(税別)※家具・家電除く(約60日) | 2026年 |
| 大阪市淀川区 | 中古戸建て(S造・約97.61㎡・築27年)。部分リノベーション | 外壁、一部のサッシ、水回り、内装 | 階段 | 1,500万円(税別)(約90日) | 2024年 |
| 京都府宇治市 | 中古マンション(RC造・68.35㎡・築15年)。部分リノベーション | 床、LDKの素材、照明 | 浴室、洗面台 | 675万円(税別)(約68日) | 2026年 |
| 大阪市福島区 | 中古戸建て(木造・99.27㎡・築25年)。部分リノベーション(1階水廻り・2階) | LDK | キッチン後ろの窓の飾り棚(窓枠のみ入れ替え) | 980万円(税別)(約75日) | 2021年 |
| 兵庫県西宮市 | 中古マンション(RC造・65㎡・築約42年)。部分リノベーション | キッチン本体、寝室・書斎・収納 | 浴室、洗面脱衣室、4.5畳の洋室、リビングドア、家具 | 647万円(税別)※家具・家電除く(約50日) | 2026年 |
| 大阪市淀川区 | 中古マンション(RC造・約35.8㎡・築53年)。部分リノベーション(内装・水廻り交換) | キッチン本体、扉、洗面台 | 吊り戸棚 | 520万円(税別)※家具・家電除く(約40日) | 2025年 |
| 東大阪市 | 中古マンション(RC造・約72.0㎡・築34年)。フルリノベーション | 本棚と机、造作洗面台 | キッチン、フリースペースの天井・壁・床 | 550万円(税別)(約60日) | 2020年 |
| 堺市堺区 | 中古戸建て(木造・約153.74㎡・築約29年)。部分リノベーション(1階内装・間取り、2・3階部分補修) | 1階のLDK(壁を取り梁と筋交を見せた) | (小上がりの収納は造作の引き出しをつくらず、お客様が用意したキャスター付き収納を使った) | 860万円(税別)※家具・家電除く(約45日) | 2026年 |
高槻市の戸建てと西宮市のマンションは、どちらも浴室を既存のまま使いました。そのうえで高槻市は屋根と2階に、西宮市はキッチンと寝室・書斎・収納に手を入れています。
まずは今の住まいや検討中の物件で、屋根・外壁など建物を守る所、家族が長くいる部屋、まだ使える設備や家具を書き分けてみてはいかがでしょう?費用の全体像はリフォーム・リノベーション費用の相場と内訳、300万円以内で一部だけ直した実例は300万円以内のマンション部分リノベーションで紹介しています。予算の決め方から実例と一緒に知りたい方は、リノベーション勉強会もご覧ください。
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担当デザイナー
変える場所を見極める
限られた予算のなかで優先したのは、雨風から建物を守る屋根の葺き替えと、ご夫婦が日常の多くを過ごす2階の住環境でした。1階の浴室・洗面台・トイレ、2階のトイレ、3階の寝室と洋室は既存のまま活用。古いものを一律に交換するのではなく、「修繕が必要な場所」と「暮らしを変える効果の大きい場所」に予算を配分。この見極めによって、内装や造作家具にもご夫婦らしい工夫を盛り込むことができました。