2026.10.16
最終更新日
2026.10.16
リノベーションのヒント

リノベーションでDIYを併用するには?業者と分担する範囲と、壁・天井を下地で引き渡した実例

マンションリノベーション施工写真

リノベーションでDIYを併用するときは、解体・下地・設備・電気・造作のように建物や安全に関わる工事を業者に任せ、壁や天井の塗装、漆喰、タイル貼りなどの仕上げを自分で受け持つ分け方が考えやすくなります。分担を決めたら、どの部屋のどの面を、どこまで仕上げた状態で引き渡してもらうかを、見積もりの段階で業者とすり合わせておきます。

予算の中で、やりたいデザインを残しながら工事費も調整したい。そんなときの選択肢の一つが、仕上げの一部を自分で受け持つDIYの併用です。ただし、自分で仕上げれば必ず安くなるとは限りません。

この記事では、業者と施主の分担の決め方、電気工事の資格やマンションの管理規約といった確認点を整理し、壁と天井を石膏ボードのまま引き渡して、お客様と友人で塗装した大阪市東淀川区のマンションの事例を紹介します。

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リノベーションでDIYを併用するときの分担|業者に任せる工事と自分で仕上げやすい範囲

分担は、仕上がりが後からやり直せるか、建物の安全や法令に関わるかで分けると決めやすくなります。塗装や漆喰は塗り直しができますが、壁の中の配線や下地は、壁を仕上げた後には直しにくい部分です。

表は横にスクロールできます →

分担工事の例分ける理由クジラの事例では
業者に任せる解体、壁・天井の下地(石膏ボード)、床下地の状態が仕上がりに影響し、仕上げた後には直しにくい東淀川区の事例では、浴室・トイレ・床や、壁・天井を組む工事をクジラが担当し、壁と天井は石膏ボードを張った状態で引き渡した
業者に任せる曲線の壁やアーチ形の開口などの造作大工の技術と手間がかかる同じ事例で、曲面の壁とアーチ形の開口は引き渡しの時点でできていた
業者に任せる浴室・トイレ・キッチンなどの水回り設備、電気の配線水漏れや電気の安全に関わる。電気の配線は資格が要る(次の項目)同じ事例で、浴室とトイレはクジラが施工し、引き渡し時点の写真ではキッチンも据え付けられている
自分で仕上げやすい壁・天井の塗装、漆喰の左官、タイル貼り、棚づくり塗装や漆喰は、汚れたり削れたりした場所を後から自分で塗り直せる(高槻市の事例で担当者が説明)塗装、漆喰、タイル貼り、本棚づくりをお客様が行った事例がある(東淀川区の事例と後の表)

電気の配線は資格がないと自分で工事できない

コンセントやスイッチを増やす・移す、照明の配線を変えるといった工事は、DIYの分担から外して業者に任せます。電気工事士法では、一般住宅などの電気工事の作業は、第一種または第二種電気工事士の免状を持つ人でなければ従事してはならないと定めています(第3条第2項。保安上支障がないとして経済産業省令で定める作業は除かれます)。

一方で、600ボルト以下で使う差込み接続器やソケットなどにコードを接続する工事や、電気機器(コンセントやスイッチなどの配線器具は除く)の端子に電線をねじ止めする工事などは「軽微な工事」として、法律上の電気工事から除かれています(電気工事士法施行令第1条)。照明器具の付け替えなどを自分で行いたい場合は、その作業が軽微な工事に当たるかを業者に確かめてから進めます。

参考:e-Gov法令検索「電気工事士法」(第2条・第3条)、e-Gov法令検索「電気工事士法施行令」(第1条)

マンションのDIYは管理規約の申請と届出も確かめる

マンションでは、DIYで行う作業も専有部分の修繕・模様替えとして管理規約の対象になる場合があります。国土交通省のマンション標準管理規約では、共用部分や他の住戸に影響を与えるおそれのある修繕等は、あらかじめ理事長に申請して承認を受けると定めています(第17条第1項)。承認が要らない修繕等でも、騒音・振動・臭気など、工事中の影響を管理組合が事前に把握する必要があるものは、あらかじめ理事長に届け出ると定めています(同条第7項)。

標準管理規約はひな型で、実際のルールはマンションごとの管理規約で決まります。業者の工事と自分の作業で申請や届出の扱いが変わるかを、管理会社に確認しておきます。

参考:国土交通省「マンション標準管理規約」(単棟型 第17条)

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壁と天井を下地のまま引き渡しDIYで仕上げたマンションの事例

曲線の造作とコストを話し合い壁と天井の仕上げを自分たちで

床が張られキッチンが据え付けられ、壁と天井は石膏ボードのままの広いワンルーム。ボードの継ぎ目に白い線が見える
引き渡し時点
同じワンルームの完成後。白い壁と天井、青緑色のアーチ形が塗られた壁の前にダイニングテーブル、手前に白いソファ、奥にタイルを貼ったキッチン
完成後

大阪市東淀川区の中古マンション(63.43㎡・1Room・RC造・築48年)を、セカンドハウスとしてフルリノベーションした事例です。語学教師のT様が、友人や生徒さんが気軽に集まれる場所として計画しました。

T様は、まっすぐな線より曲線を取り入れて、部屋の雰囲気を和らげたいと希望していました。一方で、海外から手配した資材が届かないトラブルで計画が約2年止まり、再開にあたっては限られた予算の中で計画を見直すことになりました。

菅原 沙絵菅原 沙絵

担当デザイナー

丸みを持たせる場所を絞ってコストを下げる工夫を話し合った

カーブのある壁やアーチ状の入り口は、直線でつくるより大工さんの手間がかかるため、どうしてもコストが上がります。限られた予算の中で、どこに丸みを持たせれば一番柔らかく見えるかを一緒に探りながら、コストを下げる工夫を話し合いました。

その話し合いの中でT様が決めたのが、壁や天井の仕上げを業者に頼まず、自分たちでDIYすることでした。引き渡したのは、壁紙や塗装をせず、石膏ボードがむき出しの状態です。壁はお客様自身で塗装できる下地仕上げにしました。施工管理の担当者は、ここまで広い範囲をお客様側でDIYして仕上げるのは、クジラでもなかなかないケースだったと話しています。

石膏ボードのままの曲面の壁とアーチ形の開口。奥にドアが見え、床は張られ、右に白いドアが付いている
引き渡し時点。曲面の壁とアーチ形の開口はできている
同じ場所の完成後。白い曲面の壁、カーテンを掛けたアーチ形の開口、奥に青緑色のドア
完成後

引き渡し後は、T様が友人に「DIYするから手伝って!」と声をかけ、みんなでペンキを塗ったり、タイルを貼ったりしました。T様は「昔に壁塗りの経験があって、一人ではとても無理だけど、人と協力すればできると思っていたんです。予算のこともありますが、何よりみんなで過ごす場所だから、みんなと一緒に作りたかった」と話しています(クジラ公式noteのインタビューより)。

青緑色で大きな丸が2つ描かれた壁と、その前のダイニングテーブル

リビングの壁に描かれた2つの大きな丸は、T様のフリーハンドです。直線が好きではなく、曲線を描きたかったと話しています。

T様は、結果的にコストも抑えられ、自分たちの手を動かしたことで、家への愛着も友人との絆も深まったと話しています。

トイレの壁にはお客様が選んだ海外製のクロスを採用し、施工方法の違いから現場で調整しながら仕上げています。

↓こちらの施工事例もご覧ください

計画が止まった2年間や、浴室をシャワーだけにした判断については、インタビューで詳しく紹介しています。

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業者とDIYの分担はほかにもある|クジラの5つの事例

壁と天井を広く自分で仕上げた東淀川区の事例のほかにも、DIYする場所や時期、理由はお客様ごとに違います。クジラの施主インタビューで、お客様がDIYした範囲と、そう決めた理由として語られていることを並べました。

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事例お客様がDIYした範囲語られている理由・進め方
元店舗の戸建て1階の駐車場と3階を、壁紙などの仕上げをしない素地で引き渡した。DIYで趣味の部屋にしていく予定(インタビュー時点)奥様との共同作業をしたくて、あえて残してもらった。3階をDIYすることは、計画の初めの頃から決まっていた
高槻市のRC造の戸建てダイニングの壁面などに、自分たちで漆喰を左官結露が心配で断熱材を入れたかったが予算の関係で断念し、代わりに「調湿効果のある漆喰」の左官を提案された(K様の話)。「一緒にやりましょう」という言葉で、素人で塗れるかという不安から力が湧いたと話している
岸和田市の長屋漆喰を塗った壁など予算内で工事をしない箇所を決めて金額を調整した。大工さんに木材を切ってもらったり、作り方を教えてもらったりした
東大阪市のマンションリビングの壁面に家族で漆喰を左官お子様も一緒に塗り、お子様の宝物のガラスを壁に埋め込んだ
枚方市の戸建てトイレの壁の塗装(スポンジで柄付け)、本棚トイレの壁はよく目にする場所で、家族でDIYした場所があると、その時間も少し良いものになると旦那様が話している

これらの事例でお客様がDIYした(する予定の)のは、塗装、漆喰、本棚づくりなど、仕上げと家具です。範囲は一部屋の壁から、階をまるごと素地で受け取るものまで幅があります。

決めた理由も、予算の調整だけではありません。東淀川区のT様の「みんなと一緒に作りたかった」のほか、夫婦で作業したい、家族で手を動かした跡を残したいといった理由もあります。家の一部は、お客様とスタッフが一緒にDIYすることも、お客様だけで行うことも多くあります(杉板の塗装をご夫婦でDIYした事例)。

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DIYを併用しても安くなるとは限らない|仕上げまでと下地までの見積もりを並べる

DIYにした部分は業者の仕上げ工事が見積もりから外れますが、塗料・材料・道具の費用と作業にかかる日数は自分で負担します。仕上がりに納得できず塗り直す場合は、その分の材料と時間もかかります。

費用を比べるときは、次のような観点を並べて考えると、DIYにする範囲を決めやすくなります。

  • 工事費:同じ範囲を「業者が仕上げまで行う場合」と「下地までで引き渡す場合」の両方で見積もりを出してもらい、差を見る。
  • 材料と道具:選ぶ塗料・漆喰・タイルの量と価格、ローラーやコテなど買いそろえる道具。
  • 時間:作業に使える日数と人数。引き渡しから住み始めるまで、または使い始めるまでの期間。
  • 予算を優先したい場所:東淀川区の事例で曲線の造作が話し合いの中心だったように、業者の工事で実現したいものは何か。

DIYで仕上げる壁の材料を選ぶときは、塗装・左官・タイルなど壁材ごとの違いをまとめた記事も参考になります。東淀川区の住まいの壁の仕上げも、事例の一つとして紹介しています。

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DIYする壁と天井をどの状態で受け取るか|引き渡しの範囲・下地・作業の時期

東淀川区の事例では、計画を再開した後の打ち合わせで、曲線の造作とコストを話し合う中で分担が決まり、壁と天井を石膏ボードの状態で受け取りました。クジラの事例から、業者とすり合わせておきたいことを3つ挙げます。

  1. どこを、どの状態で受け取るか:東淀川区の事例は、浴室・トイレ・床や壁・天井を組む工事まではクジラが行い、壁と天井の表面は石膏ボードのまま。元店舗の戸建て(37731)は、1階の駐車場と3階を素地で受け取りました。部屋ごと、階ごとに分けることもできます。
  2. 自分で仕上げる材料に合う下地にしておくか:東淀川区の事例では、引き渡し時点の壁を、お客様自身で塗装できる下地仕上げにしています。塗装・漆喰・タイルなど、使う予定の材料を先に伝えて、下地の処理を相談しておきます。
  3. いつ、誰と作業するか:東淀川区のT様は引き渡し後に友人と作業しました。岸和田市の長屋(15885)では工事の時期に、大工さんに木材を切ってもらったり作り方を教えてもらったりしています。お客様とスタッフが一緒に作業することも、お客様だけで行うこともあります(37965)。

コンセントや照明の位置も、壁を自分で仕上げた後に動かすと仕上げのやり直しになるため、業者の工事の段階で決めておきます。

リノベーションでDIYを併用するときの要点

リノベーションでDIYを併用するなら、解体・下地・設備・電気・造作は業者に任せ、塗装・漆喰・タイル貼りなどの仕上げを自分で受け持つ分け方が考えやすい方法です。電気の配線は資格が必要で、マンションでは管理規約の申請や届出も確かめます。費用は、仕上げまで頼む場合と下地までの場合の見積もりを並べ、材料・道具・時間も含めて比べます。

東淀川区のT様は、曲線の壁とアーチ形の開口を業者の工事に残し、壁と天井を石膏ボードのまま受け取って、引き渡し後に友人と塗りました。

DIYする場所を決めるときは、下地の処理やコンセント・照明の位置も一緒に決めます。どちらも仕上げより前の工事に含まれるためです。自分たちで壁を塗ったご家族の話は、お子様と一緒に漆喰を塗った東大阪市のマンションや、漆喰の左官を提案されて自分たちで塗った高槻市の戸建てのインタビューで読めます。

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WRITERこの記事を書いた人

デザイナー

菅原 沙絵SAE SUGAHARA

大阪府大阪市出身 / 普段からデザインを意識的に見て、自分ならどうするのか考えるようにしてます / インテリア雑貨が好きでナチュラル・シンプルなものを集めることにはまっています

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